混迷を極めるユーロ相場!金縛りのドル円相場?
ギリシャの内閣不信任案や首相辞任、そして、ユーロ離脱などの情報が錯綜する中、市場はギリシャ問題を巡り混沌としている。その中、ECBが予想外に政策金利の引き下げを実施、また、ドラギ新ECB総裁が「欧州は緩やかなリセッションに向かっている」等の認識を示した事が重石となり、ユーロは軟調気味に終始していたが、その後、ベニゼロス・ギリシャ財務相が国民投票は実施しないと言明、ギリシャの国民投票が回避される見通しが強まった事を受けて、ECBの利下げ発表にもかかわらず、ユーロドルは下げ幅を取り戻し、再び1.38台を回復している。
一方、パパンドレウ・ギリシャ首相は国民投票それ自体が目的なのではなく、ユーロ加盟継続は疑いの余地はないと述べる中、現時点での総選挙は破たんの大きなリスク伴い、国民投票の否決はユーロ離脱の開始を示し、総選挙は大惨事のリスクを招くと警鐘を鳴らしている。反面、ギリシャ国民は条件付きの支援策には猛反対しているが、ユーロ離脱に関しては否定的であることから、ギリシャ政府自体が混迷を極めていると言わざるを得ない。しかしながら、EU連合が、先に予定していた80億ユーロの第6回融資の停止を発表するなど、ギリシャ政府並びにギリシャ国民の選択肢は限られているのが現状であろう。
他方、ドラギ新ECB総裁の出身国であるイタリア国債利回りがユーロ導入以来、最高水準まで上昇している。仮に、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥れば、同債を大量に保有している欧州金融機関の破綻リスクが拡大することが必至であるが、特に、ギリシャGDPの6〜7倍に当たるイタリアへの波及懸念が広がっており、ECBによる国債購入にもかかわらず、イタリア債利回りの上昇をもたらしているため、相対的にユーロの上昇は限定的と判断するのが無難であろう。
他方、G20首脳会議では政府・日銀の為替介入についても論議されてはいるが、各国はユーロ債務危機回避が急務であり、介入措置に関しては異論があるが、特に、問題視されておらず、ドル円相場は膠着度と強めている。