ユーロ危機回避に向けて包括案合意!ユーロ疑心暗鬼の上昇局面?
難航していたギリシャの債務削減を巡り、ヘアカット率を50%カットで合意を得たことから、市場には安堵感が広がる中、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)のレバレッジや銀行の資本増強の枠組みなどの合意が加わり、欧州債務危機並びに世界的な波及危機をめぐる懸念が後退しつつある。市場は欧州首脳会談での包括案が好感された格好で、海外市場の流れは安全資産であるドル売りへと大きく傾斜する中、ユーロドルショートの積み上がりを解消する動きが早まると共に、大量の損失確定買いが伴いながらユーロドルは1.38台から1.42台後半まで急反発するなど、市場は予想以上の反応に驚きを隠せない。しかしながら、ギリシャの財政再建計画やEFSFの資金集め、そして、銀行の資本増強対する疑念は払しょくされておらず、既に市場関係者からは問題の先送りにすぎないとの声も少なくなく、課題を残した包括案とも言えるため、相対的に疑心暗鬼のユーロ上昇局面と言わざるを得ないだろう。
一方、株式市場においても、欧州危機が一服した関係上、NYダウの上げ幅が一時前日比400ドル高となり、株高を背景にドル売りが鮮明となり、金・原油先物も上昇、そして、米10年債利回りが2.37%台まで上昇するなど、相場は様変わりの状況を呈しているが、反面、リスク選考型の相場環境にあるだけに、再度、機関投資家や投機筋にとっては米長期債利回りの上昇は投資対象になる可能性が高く、更にドル売りが加速した場合にはドルの買い戻しも一考しなければならないだろう。
他方、ドル円は史上最安値を更新するも、政府・日銀の単独介入への警戒感もあるが、同時に、75円台半ば割れでは利食いと共に本邦機関投資家の買いオーダーなども多数観測されているため、下値を攻めきれない展開を余儀なくされている以上、当面、狭いレンジ相場を抜け出せない状況と判断するのが賢明であろう。