不安定なユーロ上昇局面!1.400台は時期尚早?
EFSF拡充案が批准されたことにより、銀行への資本注入や、流通市場での国債買い入れが可能となり、債務危機への体制が整い始めているが、先週末パリで開催されていたG20財務相・中央銀行総裁会議においては、世界経済は著しい下方リスクに直面している状況にあり、金融の安定と成長を回復するために断固対応する必要があるとの認識を示した声明を採択して閉幕。また、声明文ではギリシャのデフォルト(債務不履行)回避や欧州銀行の支援対策、そして、危機波及阻止を図る欧州案を支持する中、23日にブリュッセルで開かれるEUサミットまでに危機対応案を提出するよう求めている。 そして、G20財務相会議後に、カナダ財務相は「欧州が自ら設定した目標を達成できない場合、リセッション(景気後退)のリスクは劇的に大きくなるだろう」と述べるなど、欧州債務危機に対する緊張感の高まりを強調している。
その他でも、ポルトガル首相は国家的な非常事態であり、来年の財政調整は一段と大幅になる。また、仏当局筋はギリシャに対する選択的デフォルトが起きても、制御は可能としているが、欧州金融機関がギリシャ国債で50%の損失に直面する公算大。そして、メルケル独首相はユーロ圏内で安定が脅かされる時には他国を助けるとしているが、ユーロ危機は一夜にして解決できるものではなく、劇的な対応策はないと述べており、相対的に悲観的な見方相次いでおり、現状では、不安定なユーロ上昇局面と言わざるを得ないだろう。
一方、日本サイドでは、今週中にも日本政府が新たな円高対策を講じるとの一部報道を受けて、ドル円は77円台で底堅い状況になっているものの、77円台半ばには届かず、同レベルでは実需やポジション調整売りが控えており、再度、77円台前半での試行錯誤が続いている。円高対策としては、直接、政府日銀の介入以外には考えにくい状況であるが、仮に円高阻止に向けた財源確保のような中途半端な円高対策を講じれば、逆に円買いを誘発する可能性もあり、噂の域を脱していないと判断するのが正解であろう。