ユーロ迷走中!戻り売買に専念?
先のG20財務相・中央銀行総裁会議の共同声明を受け、欧州中銀(ECB)が域内での債務危機対応を進めるとの期待感は強まっている。ノボトニー・オーストリア中銀総裁ECBが通常3ヶ月程度の流動性供給を1年などより長期間とすることを検討と発言したことが、ユーロ買いをサポートした側面があるが、急ピッチで売られた反動買いが加味されており、不安定な上昇局面と言わざるを得ないだろう。
一方、欧州の債務危機問題が世界の金融不安と景気減速懸念を更に拡大させるとの発言が相次いでいる中、メルケル独首相はギリシャのデフォルトはドミノ倒しに波及する恐れがあり、選択肢にはないと述べており、ギリシャのユーロ離脱が現実味を帯びている。また、ガイトナー米財務長官は国際通貨基金(IMF)の年次総会で、ギリシャを起点とする混乱を収拾できなければ「連鎖的なデフォルト(債務不履行)と銀行の取り付け、壊滅的なリスクに直面する」恐れがあると警告。中国人民銀行の周小川総裁は「市場の信認の安定に向け、ユーロ圏のソブリン債危機は速やかに解決される必要がある」との見解を述べ、そして、国際通貨基金(IMF)欧州局長は、欧州の危機解決の時間があまりない、共通の利益のために行動すべきだと呼び掛けるなど、ユーロ債務危機を裏付けるような発言が続いている。
その中、ユーロドルは一時、1.34割れまで下落後、値ごろ感の利益確定買いが加わり、再度1.35ドル台半ば近辺まで買い戻されているが、同レベルではリスク回避の戻り売りが控えており、ユーロの買い戻しは限定的と判断するのが妥当であろう。
他方、ドル円は米長期債利回りの上昇を背景に、76円台前半から後半へ上昇したものの、リスク回避の動きは根強く、依然として、76〜77円のレンジ相場を形成しており、市場の関心はユーロ債務危機問題に左右される展開を強いられている。また、資源国通貨には下げ止まりの感があるが、株・債券、そして、商品相場の迷走が続いており、為替相場はより一層難易度を強めているだけに、現段階ではレンジ幅を拡大して、戻り売買に徹することが得策であろう。