日米欧共同作業(供給オペ)で欧州債務危機緩和!一時的現象?
欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏内の金融機関にドル資金を供給するオペを実施すると発表したこと受けて、ユーロドルは1.39ドル台前半まで急反発している。ECBは欧州金融機関の年末越えドル需要を満たすため、日米欧の主要中央銀行と年末越えとなる3カ月物のドル資金供給で協調行動に踏み切ったことで、欧州債務危機懸念が和らいだことを好感して、ユーロドルの買い戻しが急を告げている。
一方、先の独仏とギリシャの電話会談で独仏の首脳はギリシャが今後ともユーロ圏にとどまると「確信」していると発表、ギリシャ支援を継続する用意があることを示唆し、また、ギリシャ側は国際的な支援の条件である財政赤字削減目標を達成する決意を示してはいるが、未だに希望的な観測に過ぎないとの声も少なくないが、今回の供給オペにより、欧州の銀行がスワップ市場でドル資金を調達する上乗せ金利(プレミアム)は低下する中、欧州の銀行株が軒並み上昇するなど、市場には安堵感が漂っている。しかしながら、期限付きで銀行間の調達難は解消されたものの、ギリシャのデフォルト懸念が顕在化している以上、欧州債務危機の先延ばし策の一環とも解釈できる。
他方、ドル円相場は日銀によるレートチェックが入ったとの噂などから一旦77円台前半まで上昇したが、レンジ相場の域を脱せず、ユーロ買いの背景を受けて、米ドル売りに傾斜したため、ドル円は序盤の上げ幅を打ち消している。
また、国債市場では欧州債利回りの低下と相反するように米国債利回りが上昇するなど、市場全般にリスク回避の動きに翻弄される中、ユーロを更に買い上げるまでには至ってはいないが、ユーロドル1.400台には抵抗感が生じており、基本的には急落を想定した上で、ユーロの戻り売りに専念した方がリスクは軽減されるだろう。