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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米雇用統計待ちで手控えモード!直近のレンジ幅で対応可能?

NYダウは8月の米雇用統計発表を控え警戒感が高まり、5日ぶりに反落している。
昨日発表された8月の製造業景気指数は50.6となり、景気の拡大と縮小の分岐点となる50を辛うじて上回っている。しかしながら、過去2年間の最低水準にあり、また、構成指数の1つである雇用指数が悪化したことから、本日の雇用統計に対しての疑念が生じる中、ドル売り志向は強まっている。

一方、ユーロ圏の景気先行指標である購買担当者景気指数(PMI)が低下傾向を強めているが、昨日の8月独PMI製造業指数は50.9と50台を維持しているが、低下ペースは他のユーロ諸国を大幅に上回っているため、ドイツ経済にも景気低迷の波が確実に押し寄せている。また、ユーロ圏PMI製造業指数は49(予想49.7)と悪化するなど、ユーロ売り材料に事欠かない状況になっている。一部では、ECBが金融緩和策を講じるとの噂もあるが、インフレ懸念を背景に今年4月に利上げをしているだけに時期尚早と言わざるを得ないが、反面、ユーロ圏における景気減速が想定以上に進行しているとも解釈できる。
他方、欧州銀行間取引における3カ月物金利が1.5%と日米の金利と比較しても高水準であるため、ユーロ圏の景気減速懸念を背景として、総じて利下げ観測が強まりつつあるが、ギリシャなどの債務不履行問題に絡み、一部の欧州銀行などが資金調達難にあるだけに、安易な金融緩和策を講じられないのが現状であり、ユーロを積極的に買い戻す動きは後退しつつある。
いずれにしても、今晩の米雇用統計の結果次第ではあるが、大幅な改善は見込めない以上、ドルの戻り売りに焦点を当てることが得策であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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