米・欧に金融政策にジレンマ?
米欧経済の減速懸念が残る中、本日の市場は材料出尽くし感もあり、株式市場及び、為替市場も動意薄の展開を強いられている。米国、そして、欧州当局は米経済失速や欧州債務問題に対して、それぞれ対策に苦慮しているが、欧米共に決定的な打開策はなく、総じて、手詰まり感は否めない状況で
ある。それ故に、為替市場は常にドル売りとユーロ売りが混在している関係上、積極的なポジションを構築できない環境に陥っている。そして、先週のIMM通貨先物の推移から判断しても、相対的に投機筋もポジション縮小を余儀なくされており、当面、損切りシナリオを重視した上で、50bpts程度の損益でポジションの清算を急いだ方が得策であろう。
一方、8月の米連邦公開市場委員会(FONC)議事録により、FRBが景気下支えに向けて、一連の措置を検討したことが明らかになってはいるが、ゼロ金利政策の長期化を既に唱えている以上、更なる追加金融緩和策には期待と失望感が同居しているとも解釈できる。仮に、量的緩和QE3を即座に実施したとしても、米景気への影響は限定的との見方も少なくない。また、EU圏と同様に、米国は原油価格の高騰、そして、ドル安の進行などから、インフレ懸念が強まっているため、安易な追加的緩和策を実施できない側面がある。本来ならば、金融引き締め策でインフレ・リスクの鎮静化を図りたいのが本音であろうが、景気減速懸念を背景とした、ゼロ金利政策の長期化が余儀なくされている以上、金融政策のジレンマに直面しているのが現状であろう。
他方、オバマ米大統領は、成長を促進し、最大100万人の新規雇用を創出する政策の選択肢があると述べ、来週の演説で雇用対策を打ち出すと大風呂敷を広げているが、来年の大統領選挙を睨んだ演説を見なされており、現状の景況感を踏まえると、雇用対策は懐疑的との見方が少なくない。
その他では、野田新首相が「ガイトナー米財務長官と電話で会談したが、為替の話しをしていない」と発言、政府・日銀による円売り介入観測が不透明であることも為替相場のこう着度を強めている。