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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル売り・円売り二転三転!円相場は蚊帳の外?


週末のバーナンキFRB議長講演で追加金融緩和措置を示唆するとの期待感が膨らみ、NYダウは322ドル高と大幅に反発する中、昨日発表されたドイツと中国の購買担当者景気指数(PMI)が予想を上回り、世界経済をめぐる懸念が和らいだこともドル売りを誘引している。しかしながら、FRB議長が講演でQE3の可能性に言及したとしても、具体性に欠ける内容ともなれば、再び、リスク選考の動きが強まる関係上、現段階では不安定な株高と言わざるを得ないだろう。
一方、グリーンスパン元FRB議長がユーロは崩壊しつつあるとの過激な発言、また、フィンランド首相がギリシャ支援に向けて、担保差し入れが認められなければ、同国がギリシャ救済から離脱する可能性を示唆したことなどが嫌気され、一時ユーロ売りが加速したが、市場の思惑が二転三転する中、リスク回避のドル売りは根強く、ユーロは下げ幅を解消しているが、ユーロドルは1.45台の上値の重さを意識しながら、1.4300〜1.4500のレンジ相場を形成している。
他方、欧州の債務・銀行危機を受けて、欧州中央銀行(ECB)が近く金融緩和を余儀なくされるのではないかとの見方も浮上するなど、米欧の追加金融緩和策が強まる中、市場はドル売りとユーロ売りを繰り返しており、必然的に、円相場は介入警戒と消去的な円買いにより、更に膠着度を強めている。
その他では、格付け会社ムーディーズが日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付けをAa2からAa3に引き下げを発表、財政不安にあるイタリア及びスペインより下位になったが、国債格下げ問題は織り込み済みとの印象が強く、市場は円売りに反応することもなく、冷静に受け止めている。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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