外国為替取引ニュースサイト

  1. トップページ
  2. >コラム・レポート
  3. >鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー
  4. >国債トリプルAAA格⇒全滅の危機!米国債の優位性健在?

コラム & レポート

バックナンバー

鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

国債トリプルAAA格⇒全滅の危機!米国債の優位性健在?

国債格下げ問題が紛糾する中、この数日間、株式市場は急落と反騰を繰り返しており、リスク回避志向は依然として根強いことが如実に現れている。
日米欧の金利差縮小を背景として、相対的に円買い志向が強まることが予想されるが、反面、政府日銀の市場介入と共にドル円相場が史上最高値レベルにあるだけに、更に円買いを敢行できないジレンマが市場にはある。遅かれ早かれ、節目であるドル円75円割れをトライする可能性は高いが、反面、米欧と同様に財政難を抱えている日本経済の低迷を踏まえれば、日本国債の格下げ問題が常に付きまとう状況なだけに、円ロングを維持する難しさがある。
一方、昨日はフランス大手金融機関の健全性をめぐり、欧州債務危機が更に他国に波及するとの懸念から、リスク回避的な動きが早まり、株式市場は続落していたが、その後、空売り規制には批判的であった欧州証券市場監督局(ESMA)は、ベルギー、仏、伊、スペインが株式市場での空売り規制を実施する旨を発表したことを受けて、調整買いへと方向転換し、株価は反発に転じている。
他方、米週間新規失業保険申請件数が予想よりも改善したことを受けて、米経済の先行き懸念が若干和らぎ、また、独仏首脳がユーロ圏や国際問題について協議することが明らかになったことなどが好感され、NYダウが再度上昇に転じるなど、市場はリスク回避相場と化しているが、為替相場は波乱含みの展開が続く中、逃避通貨として人
を博していたスイスフランは、ジョルダン・スイス国立銀行副総裁が為替介入に踏みることなく、更なる金融緩和政策の可能性を示唆する中、スイスフランをユーロにペグさせる可能性を指摘したことを受けて、スイス売りに拍車がかかり、ユーロスイスびポンドスイスが買い戻され、ユーロドルは1.41割れ目前まで下落基調にあったが、その後は1.4300近くまで反発するなど、今後のスイスフランの動向にも目が離せない状である。

補足的になるが、米欧の国債格下げリスクが高まる中、現状ではフランス国債が格下げの標的になっているが、独仏共に欧州重債務国の国債を大量に保有しており、もはや、債券市場にトリプルA格「最上級」の国債が存在しないと判断するのが正解かもしれない。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

ニュースクラウド