相場はジレンマ状態!損切り&利食いシナリオを重視?
昨日発表されたFOMC声明文において、FRBが異例の低金利を少なくとも2013年半ばまで継続の方針を示す中、経済成長は想定以上に著しく減速する可能性を指摘、労働市場の状況は全般的に悪化、失業率は上昇など、全般的に米景気判断を下方修正している。穿った見方をすれば、米景気回復に対する打開策が限られているのが現状であり、当面、ゼロ金利政策とドル安容認姿勢を継続するしか打つ手がないのが現状であろうが、反面、ドルの信認性を維持する必要もあり、同時に中国及び他国からのプレッシャーが強まる関係上、これからのドル安を放置するわけにはいかないだろう。
一方、NYダウは、一時は前日比200ドル安まで下落したが、その後、FRBによる超低金利政策が一段と長期化するとの見方から、終盤にかけて米主要株価指数は上昇に転じ、週明けの暴落後の3分の2を取り戻して引けているが、リスク選考の動きは根強く、今後も上昇局面では利益確定売りとポジション解消売りが伴う展開が予想されるだけに、これからの上昇幅は限定的と言わざるを得ないだろう。
他方、為替相場ではドル売りが進行する中、ドル円は76円台へ突入、ユーロドルは1.44台を窺う展開、そして、パリティ割れした豪ドルも反発するなど不安定な相場展開を繰り広げている。そして、債券市場では米国債の格下げ後も金利の低下が顕著であり、2年債は2%割れ目前、そして、10年債は2.27%まで低下している。リーマンショック後には米経済の失速懸念から一時4%近くまで上昇した経緯があるが、今回は欧州債の格下げ問題が同時発生しており、世界的なリスク回避に対する質の違いが指摘されるが、今後は世界最大の保有国である中国や各国機関投資家の米債売却「利益確定売り」が予想されるだけに、金利低下に歯止めがかかる公算が高いだろう。また、世界経済の減速感が強まる中、原油価格は1バレル80ドル割れまで急落するなど、市場は原油安・ドル高、債券高・ドル安、株安・ドル安、そして、消去法的な円買いと介入警戒に挟まれ、為替相場はジレンマ状態にある。相対的に安易なポジショニングを取れない状況にあり、ある程度の乱高下を想定した上で、一喜一憂せずに損切り及び利食いシナリオを着実に実施することがリスクの軽減に繋がるだろう。