米国債格下げで緊張度強まる!織り込み済みで反応薄?
先週末の7月の雇用統計において、非農業部門雇用者数は前月比11万7000人増となり、市場予想(8万5000人増)を上回ったことから、一時、米先行き景気に対する安堵感に広がったが、その後、米格付け会社S&Pは米議会で合意された歳出削減策では不十分との認識を示す中、史上初めて、米国の長期格付けを「AAA」から「AA+」へ1段階の引き下げを発表、そして、新たな政府債務の増加につながる事態が起きれば、向こう半年から2年以内に格付けを「AA」に引き下げる可能性も明らかにしており、週明けの金融市場は緊張度を強めている。
その中で、早朝にG7財務省首脳は緊急電話会議を実施し、G7財務相・中央銀行総裁は金融安定化に向けて強調し、適正に対応するとしているが、金融市場の金詰まりを回避するため、潤沢な供給資金を確保するにとどまる公算が高く、依然として、株・債券・為替などの金融市場の混乱は避けられない状況にある。
一方、欧州中央銀行ECBが債券買い入れプログラムを「積極的に実行する」との声明を発表したことを受けて、ユーロは対ドルで1.44台目前まで上昇したものの、スペイン・イタリアなどの欧州債務危機を払しょくするまでには至らず、1.43前後まで値を戻しながら、不安定な展開を強いられている。
他方、米国債の22%を保有している中国政府は、米国債格下げを受けて、米国の財政政策を厳しく批判する中、ドル建て資産の安全性を保証するよう要求するあらゆる権利を持っていることを主張、もう一段の格下げがあれば世界経済の回復を阻害し、新たな金融危機の引き金になると警告する中、新たな安定した国際的な準備通貨という選択肢を検討すべきかもしれないと警鐘を鳴らしている。