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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

日銀介入、米欧の賛同得られず!次回介入の厳しさに直面?

世界的な景気減速懸念の高まりから、市場全般にリスク回避の動きが早まっている。
ECB理事会後のトリシェ総裁の会見で、景気のダウンサイドリスクが加速する可能性があると指摘されていたことが嫌気され、欧州株式市場は軒並み下落する中、NYダウもリーマン・ショック後以来、500ドル超急落し、原油価格は世界経済の低迷を背景に5%超下落する中、米10年債利回りは2.4%まで急降下するなど、本日発表される7月米雇用統計の発表を待たずして、市場はリスク回避を余儀なくされている。
一方、政府・日銀の意表をついた円売り介入により、ドル円相場は一時80円台まで回復したものの、米欧経済の不確実性や自国通貨安を背景にして、再び円高圧力が増している。
また、日銀介入に関しては、先に野田財務相は各国との密接なコミュニケーションを取っているとしているが、米当局は日本の為替介入を支持しなかったことを言及、そして、トリシェ総裁も介入は多国間の決定に基づいてなされなければならないと批判的である。今後も国際的な同意を得られない可能性が高く、ドル円80円台のハードルの高さを意識した展開を強いられる。それ故に、政府・日銀の介入が投機筋の格好の標的になる可能性があり、今回の日銀の単独介入が徒労となるとも解釈できる。
ただし、当面、日本経済界からの圧力などもあり、加速的な円高は回避される可能性が高く、今回の77円前後での介入は無視できない。同レベルでは、今後も幾度かの押し上げ介入が実施されると思われるが、戻り売りに徹すればリスクは軽減されるだろう。

他方、世界経済の低迷を背景にして、リスク選考の動きが強まり、原油価格は86ドルまで急落、米債券10年物利回りも2.4%まで低下する中、円キャリートレードの手仕舞いが加速、狼狽的に有資源国通貨のポジション調整売りを誘引している。
補足的になるが、本チャート上ではユーロ及び豪ドルが売られ過ぎの兆しがあり、過度なユーロ及び豪ドル売りは自重局面にある。もう一段の下落後の押し目買いに妙味が生じている。また、政府・日銀が円売り介入が実施した際に、押し上げ的な介入で2〜3円程度円売りが進行した場合には、統計的には円の反動買いが起こる確率が高くなっている。現段階では80円台以上からのロングは自重局面と言わざるを得ないだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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