日銀介入効果は限定的!戻り売りに妙味?
米連邦債務上限引き上げ法案が可決され、デフォルトは瀬戸際で回避された安堵感もあり、ドルは一時底堅い動きを見せていたが、昨日発表された7月ISM非製造業総合景況指数は52.7と昨年2月以来の低水準に落ち込んでおり、ドル売りが再び優勢になっている。また、米景気減懸念を背景にして、米金融当局が追加緩和策を検討するとの観測が広がる中、NYダウは9日ぶりに反発に転じている。
一方、格付け会社ムーディーズとフィッチは、米国債のトリプルAの格付けを確認したが、米議会が今後、債務削減案を法制化できずに米景気が悪化した場合には格下げの可能性があると警鐘を鳴らしており、米債券市場は不安定な状況に晒されている。
他方、ユーロ圏ではソブリン債務危機の波及懸念からイタリアとスペインの10年物国債利回りが急上昇し、97年以来の高水準を更新しており、独連邦債との利回り格差はユーロ導入後の最大となっている。欧州委員会のバローゾ委員長は「深刻な懸念」を表明しながら、利回り上昇は両国の経済ファンダメンタルズを反映したものではないと強調しているが、市場の一部ではイタリアとスペインがEFSF「最大4,400億ユーロ救済基金」の国別負担額を見送る事態も想定されるなど、依然として、ソブリン・リ
スクと共に、ギリシャ支援に対して懐疑的な見方が途絶えていない状況である。
明日には米7月雇用統計というビックイベントを控える中、本日は様子見志向が強まると思われたが、政府日銀が急きょ介入を実施したことで円相場は様変わりしている。
一連の米経済指標の悪化を受けてドルの先安感があるため、ドルの上昇は限定的と言わざるを得ないだろう。しかしながら、既にドル安が進行しているだけに、加速的なドル売りの構図は描きにくい相場環境にあり、ある程度の乱高下を見越した上で、ストップロスの配置に注視して臨むことが賢明であろう。