外国為替取引ニュースサイト

  1. トップページ
  2. >コラム・レポート
  3. >鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー
  4. >米債務上限問題で紆余曲折!ストップロスの配置優先すべし?

コラム & レポート

バックナンバー

鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米債務上限問題で紆余曲折!ストップロスの配置優先すべし?

米債務上限引き上げ問題が一向に進展しない中、市場は米国のデフォルト懸念が重石となり、ドルは対主要通貨に対して紆余曲折を繰り返している。
8月2日に期限が迫る中、米財務省は債務上限の引き上げが拒否された場合の対応策を本日の金融市場の取引終了後に発表する見通しであるが、米政府は市場の混乱を避けるために、既存の債券保有者への利払いを優先するとの観測が浮上している。反面、ホワイトハウスのジャレット大統領上級顧問はデフォルト(債務不履行)回避期限とされる8月2日までに議会が債務上限引き上げ交渉で合意を得ない場合、政府が国債利払いを優先するかどうかに言及することは「時期尚早」との考えを示している。

一方、米国債の発行残高は既に9.6兆ドルに達している世界の基軸債券であり、デフォルト並びに債券格下げが現実化したとしても、代替え債券が見つからない状況下では、米金利の上昇は一過性になる可能性がある。また、中国や日本が米債券保有額を半分近く占める中、日中共に米債券の購入は控えざるを得ないだろうが、即座に米債券売却は大幅な含み損に繋がるだけに、債券暴落の構図は描きにくいだろう。
また、機関投資家や年金機構などは高格付けの債券保有を義務付けられているため、一斉に米国債売却の行動を起こす難しさがある。
他方、現段階ではリスク回避目的のユーロや円買いが進行しているが、日欧共に、米国債と同様に引き下げの危機に直面しており、過度なユーロロング及び円ロングには懐疑的な見方も浮上している。
いずれにしても、米国債の格下げは避けられない中、世界経済並びに金融業界の混乱を避けるためにも、米債務上限引き上げ問題は一定の合意は得られるであろうが、中途半端な妥協案になる可能性があり、米経済の先行きに遺恨となる可能性があり、中期的なドル売り志向が強まることが予想される。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

ニュースクラウド