ドル全面安に一服感も!一進一退の展開継続中?
米債務上限引き上げを巡って与野党論議が難航する中、8月2日に向けた米国のデフォルト懸念は予断を許せない情勢である。
ユ−ロドルは1.45台への達成感を踏まえる中、昨日はギリシャ支援策の実施をめぐって、ギリシャ正常化への不安が台頭し、ユーロドルは1.43台半ば近辺まで下落、そして、NYダウの大幅続落や金、原油はともに反落するなど、市場はドル全面安に対する過熱感から、相対的に対主要通貨で調整色を強めている。
一方、米財務省からは、8月2日以降の政府借り入れは不可能と再度表明、同時に、8月2日以降すべての支払い義務を履行できるか保証できないと深刻な状況を訴えており、ドルの上昇余地は希薄になっている。
しかしながら、格付け会社フィッチが米国債は緩やかな格下げ方向にはあるが、代替となる債券は少なく、ベンチマークとしての地位や機能は変わらないだろうと示唆、今後も米国の経済力や潤沢な流動性が世界の金融市場の基礎的役割として、他に追随を許さないと評している。穿った見方をすれば、米国債の格下げ並びにデフォルトが行われたとしても、ドルの更なる急落は想定しにくい環境にあるとも解釈できる。
他方、米地区連銀経済報告(べージュブック)によれば、景気先行き懸念から経済活動ペースが緩やかになった地区が多く見られている。債務上限問題を背景とした投資家心理の冷え込みもあり、NYダウは大幅に下落する中、株・債券・ドルのトリプル安の状況を作り出している。
いずれにしても、債務上限問題を巡り、8月2日までは一進一退の展開が予想されるが、ここはレンジ幅を通常より拡大して、逆張り待機で臨むことが得策であろう。