ユーロ急騰後の反動売りに要注意?
欧州各国首脳は8時間にわたる協議の末、4400億ユーロ(約49兆円)規模の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)に対し、財政難に陥ったユーロ圏諸国の国債を購入する権限を付与する中、EFSFは資金調達難の銀行への支援を強化、そして、デフォルト危機にあるギリシャ支援に対しては、新たに1600億ユーロ規模の支援を公約するとともに、既存の融資期間を7.5年から最低15年、最高30年まで可能と条件を緩和することを発表。これらのユーロ圏首脳会合の草案を受けて、債務危機が解決に向けて進展するとの見方が強まり、ユーロドルは1.41台半ば前後から1.44ドル台前半まで急騰している。
サルコジ仏大統領からは、ギリシャ債務の持続性強化に向け強い措置を取ると言及され、今回の措置で格付け会社から何らかの反応あれば、各国とも金融機関・ECBに絡み保証をもって介入するとしている。また、トリシェECB総裁も民間部門の自発的関与伴う対ギリシャプログラムを政府が支援することを留意すると共に、ギリシャ債の担保がデフォルトの場合、ユーロ圏はECBへのサポートを確約すると述べている。しかしながら、世界経済が低迷する中、一部では、ユーロ周辺諸国や世界経済への波及を危惧した、独仏及びEUの妥協案との声も少なくなく、今回の緊急措置でユーロ債務危機が収束に向かうと見極めるには時期尚早であろう。とは言え、ユーロドルはストップロスを大量に巻き込んでおり、当面、節目である1.45台を意識せざるを得ない状況であるが、反面、悪材料が再燃した場合の反動売りには要注意であろう。
一方、S&Pは米国の信用格付けを3カ月以内に引き下げる確率が50%との見方を改めて示したため、米国債相場は反落、米10年債は再び3%台を回復しているが、安全資産への逃避が緩和された結果であり、株及び為替相場への影響は限定的であろうが、機関投資家や投機筋のポジション調整が一巡していない状況下では、ある程度の乱高下を踏まえて、慎重に取り組むことが賢明であろう。
他方、本日はオバマ米大統領が指定した債務上限引き上げ協議の合意期限であり、本日中に合意に至らなければ米国債が一部デフォルトに陥る可能性があるため、必然的にドル売り圧力が増すであろうが、未だに情報が錯綜中である以上、一喜一憂しない程度にレンジを拡大して、状況を把握してから始動することが賢明であろう。