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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル・円・ユーロ→三竦み状態!直近のレンジで乱高下?

バーナンキFRB議長の議会証言が上院で行われたが、FRBの追加金融緩和策はトーンダウンしている。FRB議長は追加緩和第2弾(QE2)導入時とは違い、現段階ではインフレ上昇から追加緩和の用意はないと消極的な姿勢を示したことで、ドルは相対的に買い戻されている。

一方、格付け会社ムーディーズは債務上限引き上げが行われず、米国債の償還が遅れた場合には、翌日にも米国債を格下げる可能性があると警告しているが、一部報道では、債務上限引き上げ問題について、与野党が1.5兆ドルの歳出削減と追加で2000億ドルの削減も可能することで合意するとの見方があるが、未だに与野党間での難航しているのが現状であり、米国債償還に向けて予断の許せない状況である。また、早朝にS&Pが米国債の格付けを3カ月以内にネガティブに引き下げる見通しを発表したが、
市場は既に織り込み済みとの見方が支配的であり、市場の反応は限定的である。

他方、欧州時間に実施されたイタリア国債入札が不調に終わった事を受けて、ユーロドルは徐々に上値の重さが意識されているが、明日にも欧州域内銀行に対するストレステストの結果が公表されるため、市場は警戒色を強めていることも、ユーロの圧し下げ要因になっている。

その他では、日本サイドでは、当局者から日々口先介入が発せられているが、日米欧経済の脆弱性や不確実性が増す中、各国とも国債格下げ問題や財政難を抱えており、円に対する協調介入は完全に逆風が吹いており、当局が下手な単独介入でも実施すれば、円高が更に進行する可能性があるだろう。
いずれにしても、日米欧各国ともに一向に景気回復の兆しがなく、自国通貨安で景気回復の糸口を見出そうとしている状況下であり、ドル・ユーロ・円が三竦みの状態にあり、当面、直近のレンジ幅の中で乱高下すると判断するのが無難であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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