ECB利上げ織り込み済み!据え置きの可能性捨てきれず?
先の格付け会社ムーディーズによるポルトガルのジャンク級への4段階格下げの影響が続く中、欧州債券市場ではポルトガル債利回りが11%から13%台まで上昇を速めており、他の重債務国のソブリンリスクに発展するとの思惑から、ユーロドルは1.44ドル台後半から一時、1.43割れの水準までユーロ安が進行したが、その後、独財務省を通して、ショイブレ財務相はギリシャ政府の財政赤字削減の努力を評価すると共に、財政再建計画の早期実施が必要との認識で一致したことが発表され、1.43台を回復しているが、リスク回避志向は根強く、依然として、安値圏で推移している。
市場は本日のECB理事会の追加利上げ観測に関心が集まる中、徐々に調整色を強めている状況であるが、ECBの利上げが既に織り込み済みとの思惑から、ユーロドルが即差に反発するかは疑問視されている。反面、利上げが実施されれば、日米との金融政策格差が意識されるため、ユーロの下落に歯止めがかかる可能性もあり、同時に、既に200bpts程度の急落直後だけに、1.43割れでは利益確定やポジション調整買い優先されており、下値は限定的になりつつあるが、相対的にユーロ買いの支援材料が希薄になっており、上値の重い展開が予想される。
いずれにしても、ギリシャ危機のみならず、他の南欧諸国の債務問題が懸念される状況下で、追加利上げの継続性に対しては懐疑的と言わざるを得ない。仮に、ECBの利上げが先送りされた場合、そして、利上げが実施されたとしても、次回の追加利上げに難色を示す発言があれば、更にユーロ売りに拍車がかかる可能性もある。ある程度の急落を想定した上で始動することが得策であろう。