ユーロ不安材料山積!戻りは限定的?
ギリシャ債のデフォルトの確率が日増しに高まる中、ギリシャ債のCDSスプレッドが拡大中であることから、ユーロドルは一時1.41割れまで下落。その後、IMF側からギリシャ支援の用意があると言及されたことを受けて、ユーロは徐々に買い戻されている。しかしながら、損失確定売りが優先されている状況下では、戻りは限定的と判断するのが順当であろう。IMFは支援策に基づく融資を全額確保する方向で交渉が進んでおり、次回のユーロ圏財務相会合で前向きな結論が得られるものと見込んでいると述べてはいるが、欧州債市場ではギリシャ2年債利回りは30%台まで上昇するなど、希望的な憶測にとどまっているのが現状であろう。
欧州委員会のレーン委員はIMFとの話し合いで、ギリシャのあらゆる債務不履行のシナリオを避けるため、ギリシャが最新の財政緊縮策を法制化しさえすれば、週末の緊急会合で120億ユーロの融資実行を決められると確信していると述べてはいるが、当面の必要な資金繰りの範囲内であり、抜本的な解決策ではない以上、先送り的な発想と解釈しなければならないだろう。
一方、ギリシャ自体も財政危機や政局不安を背景として、何事も危機として進まないのが現状であるが、欧州圏内では、相対的に、民間投資家の関与には慎重であるが、特にギリシャ債保有国のフランス、そして、ギリシャのデフォルト・リスクが他の重債務国の債券動向に波及する事は避けられない以上、ギリシャ追加支援策の難航が必至であり、ユーロの戻り買いも限定的になっている。
他方、米6月フィラデルフィア連銀景況感指数は悪化したものの、複数の米経済指標結果を受けて、米景気の先行きに対する懸念がやや後退する中、NYダウ堅調に推移したことから、各主要通貨は対米ドルで買い戻されているが、依然として、リスク回避志向は根強く、一触即発の相場展開とみなした方が無難であろう。