ドル円80円&ユーロドル1.4500前後で試行錯誤継続中?
欧州中銀政策金利が1.25%に据え置かれる中、トリシェECB 総裁の記者会見に注目が集まっていたが、インフレには総じて、引き続き上振れ圧力があり、強い警戒は正当化されるとし、日米に先立ち7月の利上げを示唆したにもかかわらず、既に織り込み済みとの思惑からユーロは下落に転じている。
一方、ドイツはギリシャの返済を大幅に延期することを主張しているが、ECBは債務の削減や条件緩和に否定的であり、欧州中銀とドイツとの軋轢がある間は、常にギリシャの債務不履行を意識しなければならず、ユーロの上値の重さに繋がっている。また、7月に利上げが実施された場合には、ギリシャをはじめとして、他の重債務国の財政負担増になるだけに、欧州経済の温度差や原油価格の高止まりなどを背景にして、0.25%程度の利上げでは、将来的なインフレ抑制に繋がるかは定かではなく、逆に早期の金融引き締め策が欧州経済の減速感を高める可能性もある。
他方、米景気減速懸念が高まる最中、NYダウの上げ幅拡大や米長期債利回り上昇を受け、ドルは上昇基調にあるが、昨日米商務省から発表された4月貿易統計では赤字幅が削減しているが、東日本大震災による本邦からの輸入減が寄与している。また、相対的にリスク回避志向が高まる中、金価格は反発、そして、原油価格も続伸しており、依然として、ドルの買い戻しは限定的と言わざるを得ないだろう。
いずれにしても、為替市場は方向感に乏しい中、日米欧経済が多種多様な悪材料を抱えているため、どちらにもポジションを傾けづらい状況であるが、ドル円は80円前後、そして、ユーロドル1.4500前後で調整局面を迎えている以上、ドル円は79.50〜81.00、そして、ユーロドルは1.4450〜1.4600のレンジ幅の中で売買を模索することを勧める。