ユーロドル1.45台乗せも達成感ゼロも!買われすぎに黄信号?
ギリシャがEU・IMFと64億ユーロの財政措置で合意したとの報道を受け、欧州債務危機が緩和する中、一部報道でユーロ各国高官が対ギリシャの新たな3ヵ年調整計画で原則合意したと伝わったことから、ユーロ買いに弾みがつき、ユーロドルは心理的節目でもある1.45台を一時回復、ユーロ円も連れ高の様相を示している。
一方、米景気減速懸念が高まる中、昨日は格付け会社ムーディーズが米国債の格下げに触れていることがドル売りを助長させているが、内容的には米債務上限引き上げで、数週間以内に進展がなければ、米国債格付けの引き下げ方向で見直す可能性を指摘しているものの、米債務上限引き上げでデフォルト回避なら現状維持としている。
市場は欧州のソブリンリスクが強まる中、日本国債の格下げ問題に続いて米国債にも波及するなどリスク回避姿勢が更に強まる中、債券安、株安へと混迷を極めている。
為替市場も同様に、短期筋の思惑がドル売り、ユーロ売り、そして、円売りへと目まぐるしく方向転換を迫られており、為替相場の乱高下が避けられない状況にある。
他方、先のADP雇用統計に続いて米週間新規失業保険申請件数が悪化した事を受けて、本日の5月米雇用統計の悪化が折り込まれており、ドル売りは依然として優勢であるが、反面、ユーロドルは1カ月ぶりに1.45台に乗せた達成感から上値は限定的であろうが、市場の関心がユーロ圏におけるギリシャ問題から米景気減速懸念にシフトされており、相対的にユーロ側の悪材料に対して反応薄になっていることは否めない。
また、欧州債券市場では重債務国とドイツの国債利回り拡大が続いているが、ドイツ債10年物利回りが3%前後を維持しており、米国債利回りと拮抗していることもドル売りを誘発しており、米長期金利の下げ止まりが意識されれば、ドルの反発要因になるだろう。