ドル円81円割れ意識も下値限定!反動買いに要注意?
米週間新規失業保険申請件数など複数の米経済指標が事前予想を下まわった事が嫌気される中、米長期債の利回りが更に低下したことを受けて、ドル売り優勢の展開になっている。米商務省が発表した実質GDP/改定値(1−3月期)は速報値と同一の1.8%増となったが、先にブラード・セントルイス連銀総裁が「第1四半期GDP、上方修正されるだろう」とのコメントが意識されていただけに、失望売りを交えながら、ドル売りが進行している。
一方、IMF国際通貨基金によるギリシャへの融資問題を巡って情報が錯綜する中、リスク回避を背景に、一時、ユーロドル売りが優勢になるなど、市場は方向感を掴みづらい状況の中、逃避通貨に属するスイスフランにシフトされているのが現状である。しかしながら、ユーロスイスがユーロ導入以来、最安値を更新、同時に、対ドルでもスイスフランが買い進まれているため、逆に、同通貨の国際流動性や過剰なロングが問題視されており、スイスフランの反動売りにも注意が必要だろう。
ユーロドルは一時1.4200台まで上昇したものの、ユンカー・ユーログループ議長が「IMFは来月、ギリシャに融資を提供しない可能性ある」とコメントした事で1.40台半ば近辺まで急落、その後、ユンカー議長が「EU・IMFがギリシャの新たな措置に確信を持つ事が出来れば、6月の融資に問題ないだろう」と火消しに回ったことで、ユーロドルは下げ幅を若干解消しているが、不透明な重債務国問題を背景にして、ドイツ債10年物利回りが3%割れまで低下しているように、リスク選考の動きは更に強まっている。
他方、ドル円は米独の長期金利の低下に応えるように円が消去的に買われている面があるが、日本経済の低迷が長期化することを踏まれば、円が積極的に買われる相場環境には至っておらず、下値は限定的と判断するのが無難であろう。