貿易赤字縮小も景気減速懸念拡大中!
ユーロドル1.4000割れでは安値感の利益確定買いやポジション調整によるユーロ買い戻しが散見される中、昨日発表された独IFO景況感指数の改善を受けて、ユーロが上昇するものの、ギリシャ問題の深刻化や南欧諸国の国債下落が続いているため、ユーロドル1.41台ではポジション縮小を兼ねたユーロ売りが控えており、総じて反発力は限定的になっている。また、昨日もギリシャ債務再編に関して、ユーロ圏側から相次ぐ悲観的な要人発言が続いていることがユーロの上昇力を弱めている。
オランダの財務相はギリシャが十分な改革を行わなければユーロ圏に連鎖反応が起こり得るとし、ギリシャは追加の救済を得る前に民営化など改革を行わなければいけないと指摘、また、ビーニ・スマギECB専務理事はギリシャが債務再編を行うならシステムを破壊することとなり、債務再編はギリシャの問題を解決することにはならないだろう批判的な見解を示している。その後、ユンケル・ユーログループ議長がギリシャの完全な債務再編には強く反対するものの、ギリシャが全ての要求に応えれば次なる段階に入るとし、ギリシャが基準を満たせば融資返済の延長も可能と指摘しているが内容的には新鮮味には乏しく、ユーロドルの不安定さに繋がっている。
一方、米国ではブラード・セントルイス連銀総裁が債券購入を6月末に終えても、即座に超緩和策から反転することはないことを示唆し、すべて?が改善されればFRBは年後半にも金融引き締めを開始できるとしているが、世界的な景気減速懸念が浮上する中、軟調な株価指数を背景に早期の利上げ観測は後退しており、時期的には来年以降になるとの見方が有力視されている。
他方、市場全般にリスク回避の動きから、市場全般が安全資産である米国債購入に集中したことが米長期金利の低下に繋がっていが、米長期金利が本格的に上昇するには時期尚早との見方が支配的であり、金利面での優位性からドルロングを維持する難しさは否定できないだろう。ただし、米10年債利回りが3%割れまで低下すれば、利益確定売りが伴い自律反発的な利回り上昇が予想されるだけに、再度ドル買い志向が強まる可能性が高いだろう。