ユーロ売り1.39台では自重局面!円売り志向健在?
ギリシャ債務再編問題を筆頭にして、他の重債務国のソブリン・リスクが加わり、ユーロの信頼性が急落している。昨日も格付け機関 フィッチがベルギーの格付け見通しをネガティブに引き下げる中、更にギリシャの5つの銀行の格付けを引き下げたことがユーロの重石になっている。
その中、ユーロは対ドルで約2カ月ぶりの安値である1.4000割れへと下げ基調を強めているが、対スイスフランでもユーロ導入来最安値を更新するなどユーロ売りに歯止めがかからない状況である。また、スペインの地方選での与党敗北を喫したことも不安心理を増幅しているが、反面、ドル売りの主因でもあったNY原油先物価格が下落に転じていることから、リスク回避のドルの買い戻しがユーロ売りを助長している。そして、昨日発表された、ドイツとユーロ圏の5月製造業・サービス業のPMIが予想を下回るなど、たび重なる悪材料がユーロ売りに拍車をかけている。
一方、ノボトニー・オーストリア中銀総裁が「ECBのプログラムが順調な限り、ギリシャ国債を受け入れる」とのコメントを発したことから、ユーロドルは1.4000割れでは下げ渋り状態を見せているが、依然として、損失確定売りを背景としたユーロ売りが優先されており、上値は限定的と言わざるを得ない。
他方、本邦では、東日本大震災による日本経済の回復力の遅れが指摘される中、格付け機関ムーディーズが『2期連続のマイナス成長が日本の国債格付けに下押し圧力』とのコメントが意識されており、相対的に円売り志向が拡大している。
いずれにしても、世界景気の下振れリスクから、株式市場が軒並み下げ幅を拡大するなど、相対的なリスク回避の動きが早まっている関係上、ドルの買い戻し圧力が増しているが、IMM通貨先物市場によれば、投機筋の過剰なユーロロングが半減しているように、ある程度の調整売りが終焉に向かう可能性があり、更にユーロ売りを加速させる難しさがあり、ユーロドル1.39台からのショートは自重することが賢明であろう。