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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円80円割れも介入時期に至らず?

GW明け後であるが、先週までの米ドル売りの流れが一転して、ドル買い・円買いが加速している。昨日、欧州政策金利が据え置かれる中、その後の声明文やトリシェECB総裁の記者会見でインフレ警戒感を弱めたことから、6月の利上げ観測が大幅に後退したことが起因しており、ユーロドルは1.48ドル台半ばから1.45ドル台半前半、ドル円も3月18日の協調介入後以来、80円割れへと様変わりを見せている。また、過熱感のあったクロス円全般にも利益確定売りやポジション解消局面に陥り、急速に下げ足を速めている。
注目されたトリシェECB総裁の記者会見においては、冒頭からECBは適切な時期がくれば、いつでも利上げは可能だとしながらも、ユーロ圏の経済基調は前向きだが、同時に不透明性は高まっており、物価動向は広範なインフレ圧力の高まりにつながっていない事が指摘されており、市場の利上げ観測期待を削ぐ恰好となったことがユーロの全面安の状況を作り出している。
一方、ドル円が80円割れの展開を見せたことで、円売り介入が意識されるが、前回の協調介入時との比較では未だに、円安水準に位置しており、下値懸念は払しょくされておらず、日銀の単独介入の線は残しているものの、協調介入の域には達していないのが現状であろう。
他方、原油価格が100ドル割れの展開を見せる中、有資源国通貨も下げ足を強めているが、中東情勢に進展がみられておらず、原油価格の下げ止まりも予想されるだけに、クロス円の下げ幅も限定的と判断するのが無難であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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