ドル売りに過熱感!反転時期を模索中?
ドル指数が一時2年8ヶ月ぶりの低水準に落ち込むなど、連日のようにドル売り優勢の展開を強いられている。市場は本日のFOMC声明文やバーナンキFRB議長の記者会見を睨み、様子見ムードが強まる中、ドル円は概ね81円台半ば前後の狭いレンジ幅での攻防を余儀なくされているが、ユーロドルはフェルト・ドイツ政府経済諮問委員会委員が「今年、ECB(欧州中銀)の2回以上の利上げを予想する」と発言したことをきっかけに、更に追加金利引き上げ期待が高まり、ユーロドルは終日1.46台で底堅い動きを見せている。
前回のFOMCにおいて、バーナンキFRB議長が、「異例に低い金利を長期間継続する」とのコメントを背景に、今回も政策金利据え置きと共に低金利の長期化を表明するとの思惑から、ドルを買い戻す動きは弱まりつつあるが、徐々に、米ドルの過小評価が浮き彫りになりつつあり、市場のセンチメントとしては、ドルの買い戻し時期を探る段階になっている。
いずれにしても、現状の欧米の金利先高観測の面で米国が遅れを取っている関係上、米ドル売りが優先される展開は否めないが、反面、負けて劣らず、ユーロ圏においてもギリシャの債務再編や重債務国の債券利回りの上昇などと、ユーロ圏における信用不安は払しょくするには程遠いほど状況であり、ユーロの上昇がドル売りに助けられている側面が多々ある。
一方、オバマ大統領は石油会社に対する減税を撤廃し、その予算をクリーンエネルギー分野への投資にあてるべきと述べる中、産油国への依存を減らせるとし、改めて、原油高が、米経済を減速させていることを強調している。そして、ガイトナー米財務長官も米経済の力強さは回復してきているものの、石油価格の高騰が米経済にとっての逆風とし、米財政赤字は持続できないと述べた上、繰り返し強いドルが米国の利益であり、米国は貿易上の優位性のためにドル安誘導戦略は決してとらないとコメントしている。しかしながら、中東情勢の深刻化を背景とした原油価格の高騰に歯止めがかからない限り、ドルの上昇力は限定的と言わざるを得ない状況であるが、原油価格の高止まりは米経済のみならず、世界経済の重石になることは明白であり、安全資産としての潜在的なドル買い需要があるだけに、過度なドルショートに違和感が生じている。