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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円82円台で足固めの兆し!押し目買いに妙味?

欧州圏におけるソブリン・リスクの状況は変わらないものの、昨日は、ドイツとユーロ圏の4月PMI製造業速報値がいずれも予想を上回ったことで、ECBが再利上げを実施するとの思惑が広がる中、ユーロドルは前日の下げ幅を解消する形で1.43台半ばまで上昇している。また、ウェリンク・オランダ中銀総裁が「インフレに引き続き非常に注意する必要、そうしなければ後手に回る恐れ」との発言がユーロの押し上げ要因になっているが、相対的にポジション調整における上昇局面と解釈するのが賢明であり、更なる上昇は限定的と判断するのが無難であろう。

一方、ガイトナー米財務長官が米国はトリプルA格付けを必ず維持する旨発言する中、向こう2ヶ月間で大きく進展する機会があることを指摘した上、財政赤字削減に対して、強制力のある上限を設けて一定期間に節減し、力強い目標を導入することでは合意していることを強調しているが、反面、米当局並びに同長官が「強いドルが国益である」と常に主張しているように、具体性に欠けた発言でも
あり、市場の反応は限定的になっている。

他方、金価格が1500ドルまで達し、また、原油価格が再び上昇基調にあり、リスク回避の動きが鮮明であるが、同時に、米長期金利が低下傾向にあることもドルの重石になっている。しかしながら、格付け機関による米国債の格下げ見通しが米財政赤字拡大によるとことが大きいだけに、現時点では、日欧経済に対するに不信感が払しょくされない中、総合的な安全資産の観点では、過剰流動性資金が米国債に回避している現象であり、ドルの戻り買いに妙味が生じている。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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