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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米ドル過小評価の域!反動買いに要注意?

米議会において予算をめぐり、与野党の対立が高まる中、NYダウが下げ幅を拡大、相対的にドル売りが進行している。

一方、トリシェECB総裁が追加利上げに含みを持たせたことを受けて、ストップロス優先のユーロ買いが散見されているが、トリシェECB総裁がドルは強い通貨であることが重要だと指摘したことを受けて、ユーロドルは1.45台を窺う動きになっている。また、スペイン財務相が「スペインに対する支援要請は、全く持って問題外だ」と述べ、支援要請の可能性を否定した事もユーロ買いを助長させている。

他方、東日本震災による福島原発事故の深刻化を背景にして、日本の財政悪化に伴う日本国債の格下げリスクや日本経済のマイナス成長の可能性が高まっている中、日銀金融経済月報によれば、日本経済は震災で生産面中心に下押し圧力強い状態。設備毀損や電力供給制約で一部生産活動大きく低下。輸出や国内需要にも影響。そして、生産は当面低水準で推移するとみられるなど、日本売りを余儀なくされている。それ故に、市場の円売り基調は否めない状況である反面、原油価格が102ドル台へと続伸しており、ドル売り基調も捨てきれない状態なだけに、ドル円は85円前後の攻防を余儀なくされているものの、諸々の相場環境から判断して、依然として、ドル円の下値は堅調と判断するのが妥当であろう。

補足的になるが、シカゴIMM通貨先物によれば、円は7千枚ロングから4万3千枚のショートへと様変わりしているように、円売り志向に傾斜する中、ユーロ及び豪ドルが警戒レベルまで買い進まれており、加速的にドルショートが膨らんでいるため、ドルの反動買いも視野に入れて臨むことが賢明であろう。


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●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2011年4月10日
*注意事項: 相場が急激な円安局面を迎えています。チャート上ではレンジ幅が大幅に変更されていますので、通貨によっては、先週との相関性が剥落している箇所がありますのでご留意ください。

▼ドル円⇔ユーロから見るドル円相場(ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅 0.1450 現状乖離幅0.1334→0.1274
A)100÷122.70=0.8150 B)1÷1.4486=0.6903 A−B=0.1247)
先週の様子見84.05円から上昇に転じているが、今週も引き続き様子見レベルの84.70円が点灯している。中期チャートにおいては買いシグナルが弱まりつつあり、83~86円のレンジ相場を形成している。★様子見

▼ユーロドル(ドル円−ユーロ円)
平均乖離幅 32.00円 現状乖離幅 33.20→35.55円
先週の弱めの買いシグナル1.4230から上昇を速めており、今週はポジション解消売りに伴い、様子見1.4486が点灯している。中期チャートにおいては、売りシグナルが点灯しており、1.45台以上からのナンピン売りに妙味が生じている。★様子見

▼豪ドル(ドル円−豪ドル円)
平均乖離幅 0.00円 現状乖離幅 −3.30→−4.80円
先週の弱めの売りシグナル1.0393から上昇を速めており、今週も引き続き売りシグナル1.0567が点灯している。中期チャートにおいては、依然として、強めの売りシグナルが点灯しており、現状レベルからのナンピン売りに妙味が生じている。
★買いターゲット(1.0300〜1.0350)

▼NZドル(ドル円−NZD円)
平均乖離幅 20.00円 現状乖離幅 19.50→18.40円
先週の弱めの買いシグナル0.7680から上昇に転じており、今週はポジション解消売りに伴い、様子見0.7827が点灯している。中期チャートにおいては、引き続き強めの売りシグナルが点灯しており、0.7500〜0.7900のレンジ相場を形成している。
★様子見

▼カナダドル(ドル円−カナダ円)
平均乖離幅 −2.00円 現状乖離幅 −3.10→−3.85円
先週の様子見0.9644から下落に転じており、今週は弱めの買いシグナル0.9565が点灯している。中期チャートにおいては、依然として、強めの買いシグナルが点灯しており、0.95割れからの押し目買いに妙味が生じている。
★売りターゲット(0.9600~0.9650)

▼ポンドドル(ドル円−ポンド円)
平均乖離幅 50.00円 現状乖離幅 49.80→54.15円
先週の弱めの買いシグナル1.6121から上昇を速めており、中間ではポジション解消売りを伴いながら、更に上昇しており、今週は売りシグナル1.6393が点灯している。中期チャートにおいては強めの売りシグナルが点灯しており、1.64台以上からのナンピン売りに妙味が生じている。★買いターゲット(1.6200〜1.6250)

▼ドルスイス(ドル円−スイス円)
平均乖離幅 7.00円 現状乖離幅 6.85→8.50円
先週の弱めの売りシグナら0.9246から下落に転じており、中間ではポジション解消買いを伴いながら、今週は買いシグナル0.9088が点灯している。中期チャートにおいても買いシグナルが点灯しており、0.9000前後からの押し目買いに妙味が生じている。★売りターゲット(0.9150〜0.9200)

▼オセアニア通貨裁定取引
平均乖離幅 22.00円 現状乖離幅 22.80→23.20円
チャート上では統計的にも豪ドル円売り/NZ円買いシグナルが点灯しているが、急速な円安相場により、乖離幅24円前後からの始動に妙味が生じている。
過去の週間ごとの経緯は以下の通り。14.55→13.75→16.20→15.90→16.65→19.10→17.50→17.80→17.50→17.30→18.00→18.65→19.95→21.15→22.10→19.70→19.60→18.40→19.10→18.15→20.00→20.15→21.00→21.85→22.70→21.40→22.20→22.80→23.20円

▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円
2007年度平均279円、2008度平均は255円。2009年度平均は224円、2010年度1月平均222.70円、2月平均213.90円、3月平均213.50円。4月平均219.40円、5月平均208.60円、6月平均201.85円、7月平均199.40円、8月平均196.50円。9月平均194円。10月平均196.10円。11月平均195.30円。12月平均193.70円。2011年度1月平均は192.55円。2月平均は195.30円、3月第1週は197.30円、第2週は195.75円。第3週は194.85円、第4週は196円。4月第1週は203.65円、そして、今週はユーロ円122.70+ドル円84.70=207.40円と円安圏に突入している。
(目安*195円以下は円売り局面⇔210円以上は円買い局面)

●欧州3大通貨比較
▼ユーロポンド ユーロ円―ポンド円
平均乖離 15.00円 現状乖離幅 15.90→16.15円
先週の弱めの買いシグナル0.8827から変化はなく、今週も引き続き買いシグナル0.8837が点灯している。中期チャートにおいても買いシグナルが点灯しており、0.88割れからの押し目買いに妙味が生じている。★売りターゲット(0.8900〜0.9000)

▼ユーロスイス ユーロ円―スイス円
平均乖離 26.50円 現状乖離幅 28.70→29.50円
先週の弱めの買いシグナル1.3157から変化はなく、今週も引き続き様子見1.3165が点灯している。中期チャートおいては弱めの買いシグナルが点灯しており、1.2900〜
1.3300のレンジ相場を形成している。★様子見

▼ポンドスイス ポンド円―スイス円
平均乖離 41.50円  現状乖離幅 44.60→45.65円
先週の弱めの売りシグナル1.4906から若干下落しており、今週は様子見1.4898が点灯している。中期チャートおいては弱い売りシグナルが点灯しているが、1.4700〜1.5100のレンジ相場を形成している。★様子見


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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