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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ECB追加利上げ観測に過剰期待!円&ユーロ戻り売りに妙味?

本日は日銀金融決定会合を筆頭にして、英中銀(BOE)の政策金利発表、そして、欧州中銀(ECB)の政策金利発表が予定される中、トリシェECB総裁の記者会見に注目が集まっている。ECB内では金利正常化に向けて、0.25%の利上げ観測は織り込まれているが、同時に、インフレ懸念が原油価格の高騰などにより、欧州全域に一層広がっている関係上、年度内に複数回の利上げが実施される見通しが高まっているため、ユーロドルが底堅い状況になっている。
ただし、EU圏におけるポルトガルやスペインなどの重債務国に対する財政負担増は避けられず、また、東日本大地震(日本経済)の余波を受けて、世界経済の回復が遅れるとの見方が浮上するなど、ユーロ圏内部においても、追加利上げには批判的との見方も少なくなく、トリシェECB総裁の記者会見の結果を見てから始動することが賢明であるが、リスク的にはユーロドルが更に上昇した時点でショートに転じることが一考であろう。

一方、円の独歩安が続く中、福島原発事故の汚染水処理が難航しており、未だに円買い材料は皆無に等しい状態である。また、ゼロ金利政策の長期化が余儀なくされる中、米長期金利が3.55%台へと上昇に転じており、金利差拡大の面からも、円キャリートレードを後押しする可能性から、クロス円全般の底堅さに繋がっている。それ故に、皮肉にも日銀の為替介入の必要性もなくなっているが、当面、円売りに特化することが得策であろう。ただし、既に円売りが浸透しているため、円の戻り売りを起点とした戦略性で臨むことを勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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