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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円売り材料満載!遅かれ早かれドル円90円視野に?

ドル円は、NY時間終了までは辛うじて84円台後半を維持していたが、早朝から難なく85円台をクリアーして、円全面安の展開になっている。
福島原発の事故処理が難航中であるが、放射線漏れの影響が広範囲になるとの見方が台頭すると共に、食材に対する風評被害が加わり、輸入増と輸出減が見込まれているため、円を買う動きは急速に減少している。また、計画停電による企業運営についての疑念が生じる中、各大手企業が続々と減益修正に追い込まれていることも円売りに拍車をかけている。
昨日は中国が欧米に先立つ形で0.25%の利上げを実施したが、欧米と同様に原油価格の上昇から、更にインフレ懸念が拡大しており、一部では中国経済の減速が早まるとの見方も少なくない。

いずれにしても、東日本大震災の影響は測り知れない状況であるが、これからの大規模な救済資金を背景として、財政赤字問題が日本経済の重石になることは明白であり、同時に、日銀の超低金利の長期化が余儀なくされているため、日本離れによる「悪い円安相場」と化している。また、金利差拡大による円キャリートレード的取引が更に加速する可能性が浮き彫りになりつつあり、遅かれ早かれ、ドル円90円台を視野に入れるべきかもしれない。そして、リビア情勢の激化と共に原油価格が上昇を続けている関係上、市場のコンセンサスはドル売りに傾斜せざるを得ないが、中東情勢が鎮静化すれば、原油価格の下降局面を促す可能性があり、原油価格の下落幅次第では、ドル円100円台をイメージしても、何ら不思議ではないのかもしれない。
ただし、日本経済の低迷が欧米諸国のみならず、中国及び豪経済に与える影響も無視できないが、新興国への打撃になる可能性も否定できず、世界経済に対する焦燥感が募れば、過度な円売りは抑制されるだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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