ユーロドル上昇に息切れ感!利上げ期待は賞味期限切れ?
ユーロドルはECBの利上観測が根強く、上昇トレンドにあったが、過熱感と共に、利益確定売りに圧された格好で1.4100前後まで急落している。昨日はポルトガル議会の緊縮予算案否決やソクラテス首相の辞任が伝わると同時に、本日から開催されるEU首脳会議においても、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の拡充案が6月に先送りされ、更にアイルランドへの融資の金利引き下げが見送られるとの思惑などが加わり、重債務国に対する懸念が増幅する中、ユーロ売りが加速、一時1.41割れまで下落している。この手の報道は過去にも幾度となく浮上しているが、ユーロ圏では重債務国を中心とした緊縮財政策を取り組んでいるとは言え、アイルランドやスペインでは銀行の債務問題が進行中であり、また、4〜5月に向けてはスペインとポルトガルが大量の国債償還がある関係上、ECBとしてはインフレ懸念による利上げと共に、小幅な利上げで今後の動向を見極めたいのが本音であろう。
トリシェ総裁も先の理事会後の記者会見で、次回会合での大幅利上げは適切ではないとした上、4月に利上げした場合でも利上げ局面入りを意味しないとも述べているように、継続的な金融引き締め策が問題視されているため、金利先高観測によるユーロ買いには息切れ感が生じている。
一方、米国2月新築住宅販売件数が予想を下回った事などが嫌気され、米株式市場が軟調に推移する中、リビア情勢が進展せずに原油価格が続伸したことから、一時米ドル売りが優勢になっているが、相対的に、ドルショートポジションが積み上がりもあり、市場はポジション調整段階に突入していると見るべきであろう。
他方、ドル円は介入警戒と共に81円前後でこう着度を強めているが、昨日は、ユンケル・ユーログループ議長がG7、そして、FRB、ECB、日銀は円に関して、更なる協調行動を取る用意があると述べており、積極的な円買い志向は後退している。しかしながら、市場のセンチメントはリスク回避による円買いと東日本大地震・日銀介入による円売りの狭間にある中、日本株の安値感を背景として、市場のセンチメントは日本売りから日本買いのスタンスに傾斜しており、現状では売り買いともに拮抗していると言わざるを得ないだろう。