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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円高容認姿勢強まる!日本経済の活性化優先?

ドル円が95年の最安値である79.75を一気に更新する中、狼狽的なストップロス売りが多発、一時、77円割れへと見切り売りがマーケットを席巻している。東北大地震による福島原発事故に対しての日本経済への大打撃と共に、悲観的な見方がマーケットに浸透しつつある。
一向に収束を見せていない原発事故に対する円高相場と言えるが、日本経済は、一時的にせよ、円高メリットを享受せざるを得ないほど深刻な状況に陥っているとも解釈できる。政府・日銀としても、平常時ならば、80円割れでは介入対策を講ずると見られていたが、東北地方の大惨事を目の当たりにして、為替相場よりは経済の活性化を重視せざるを得ない状況であり、積極的な介入姿勢は大幅に後退していると判断すべきであろう。

一方、エッティンガー欧州委員(エネルギー担当)が日本の福島原発事故について、かなり悲観的な内容の発言が伝わったことで、より警戒感が強まり、NYダウは一時300ドル近く急落したことも円買いを加速させている。更に、東京市場序盤から円キャリートレードの解消を思われる機関投資家などのポジション手仕舞いが加速したことも円買いを誘発している。
いずれにしても、原発事故の収束を見ない限りは、ドル円及びクロス円の上昇は限られているのが現状であるが、かなり危機感を伴った円買い局面であり、ドル円75円程度までの下落は想定して臨むことが賢明であろう。また、これだけの乱高下相場はチャート分析やファンダメンタルズ分析では予測不可能であり、ストップロスの配置を重視した売買シナリオで臨むしかないだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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