原油価格100ドル割れ→ドル買い戻し進行?
リビア情勢が混沌とする中、原油価格の上昇要因がドル売りを助長しているが、先のサウジアラビアの増産体制に続き、クェートを含むOPEC加盟国が増産を検討中との報道が伝わり、原油価格の上昇懸念が薄れたことから、米ドルは徐々に買い戻されている。
一方、ユーロ圏では既に退任が決定しているウェーバー独連銀総裁が「ECBの政策金利が年末までに1.75%になるとの市場予想について、現時点では修正を試みようとは思わない」とし、ECBは数ヶ月以内に満額供給レポの停止検討、年内に0.75%程度の金利上昇を示唆しているものの、既にトリシェECB総裁が「利上げサイクルが始まるという認識ではない」と言及しているため、市場の反応は限定的になっている。しかしながら、物価安定を優先しているECBとしては、次回の理事会において、とりあえずは0.25%程度の利上げを実施せざるを得ない状況にあることは確実視されている。
他方、格付け会社ムーディーズがギリシャの格付けを3段階引下げたが、同時に、S&Pが「ユーロ圏諸国の更なるソブリン格付けの引下げを想定している」「ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性ある」と伝えており、ギリシャ債とドイツ債の利回り格差は過去最大近くまで拡大しており、現段階では利上げ観測を相殺する格好でユーロ売りが勝っている。市場のコンセンサスはユーロドル1.4000台の上値の重さが再認識されると共に、全般的にドルの買い戻しが優先されている。また、カダフィ大佐の早期退陣との報道があるため、投機筋のポジション解消売りが進む可能性が浮上しており、今迄のようにドルショートを維持する難しさがある。ただし、原油価格が100ドル割れを見ない限りは、ドルの買い戻しは限定的と言わざるを得ない相場環境にある。