外国為替取引ニュースサイト

  1. トップページ
  2. >コラム・レポート
  3. >鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー
  4. >ドルショートに過熱感!戻り買いに専念?

コラム & レポート

バックナンバー

鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドルショートに過熱感!戻り買いに専念?

先週末の米雇用統計は、非農業部門雇用者数はほぼ予想通りの結果であったが、製造業及び民間部門が改善される中、失業率が8.9%と2009年4月以来の低水準になったことを好感し、発表後の為替市場は米ドル買いに反応、ドル円は一時83円台を回復し、ユーロ円は昨年5月以来の高値水準(116円)まで上昇したものの、リビア情勢の緊迫化が嫌気された恰好でリスク選考の動きは止まらず、原油価格が104ドル台まで高騰、そして、NYダウが低迷する中、米長期債利回りが低下したこと受けて、為替市場は一転して、ドル売りに傾斜、ドル円は82円台前半まで急落、ユーロドルは1.4000台を回復するもののユーロ円は一時115円割れまで反落するなど、往って来いの相場展開にマーケットは翻弄されている。
一方、ユーロ圏におけるインフレ懸念がマーケットを席巻する中、先にトリシェECB総裁が4月会合で利上げを行う可能性を示唆したことを受け、早期利上げ期待が高まる中、オランダ中銀総裁が「インフレ圧力が過度に高くなった場合、ECB(欧州中銀)は遅かれ早かれ利上げすべき」「経済が順調な成長軌道にあれば、利上げは難なくできる」との見解が意識されており、相対的にECB内では金利先高観測が根強いことが、ユーロの押し上げ要因になっている。
他方、IMM通貨先物においては、中東情勢の長期化懸念を背景にして、円ショート2万7千枚から円ロング4万1千枚へと7万枚近くまでポジションが急反転しており、ドル円の上値の重さが再認識されているが、ユーロを含む欧州通貨、そして、有資源国通貨なども既に警戒レベルまでドル売りが進行している反面、原油価格の高騰によるドルショートが飽和状態にあることを促しており、更にドル売りを敢行するリスクも浮上している。


●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2011年3月06日

▼ドル円⇔ユーロから見るドル円(ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅 0.1600 現状乖離幅0.1630→0.1543
A)100÷115.05=0.8692 B)1÷1.3988=0.7149(A−B=0.1543)先週の買いシグナル81.70円から上昇しており、83円前後ではポジション解消売りを伴い、今週は様子見82.25円が点灯している。中期チャートにおいては弱い買いシグナルから、売りシグナルに移行しており、83円前後からのナンピン売りに妙味が生じている。★様子見

▼ユーロドル(ユーロ円−ドル円)
平均乖離幅 29.00円 現状乖離幅 30.60→32.80円
先週の強めの売りシグナル1.37454から上昇を速めており、今週も引き続き強めの売りシグナル1.3988が点灯している。中期チャートでは依然として、強い売りシグナルが点灯しており、現状レベルからのナンピン売りに妙味が生じている。
★買いターゲット(1.3500〜1.3600)

▼豪ドル(ドル円−豪ドル円)
平均乖離幅 0.00円 現状乖離幅 −1.45→−1.20円
先週の売りシグナル1.0117から若干上昇しているが、今週も引き続きは通常の売りシグナル1.0146が点灯している。中期チャートにおいては、依然として、強い売りシグナルが点灯しており、現状レベルからのナンピン売りに妙味が生じている。★買いターゲット(0.9950〜1.0000)

▼NZドル(ドル円−NZD円)
平均乖離幅 20.00円 現状乖離幅 19.80→20.40円
先週の様子見0.7617から下げ足を速めており、今週は弱めの買いシグナル0.7503が点灯している。中期チャートにおいては、強めの売りシグナルがしており、0.7400〜0.7700のレンジ相場を形成している。
★売りターゲット(0.7550〜0.7600)

▼カナダドル(ドル円−カナダ円)
平均乖離幅 −1.00円 現状乖離幅 −1.80→−2.40円
先週の買いシグナル0.9784から若干下落しているが、今週も引き続き通常の買いシグナル0.9716が点灯している。中期チャートにおいては強めの買いシグナルが点灯しており、現状レベルからの押し目買いに妙味が生じている。
★売りターゲット(0.9900〜0.9950)

▼ポンドドル(ポンド円−ドル円)
平均乖離幅 47.50円 現状乖離幅 49.90→51.50円
先週の売りシグナル1.6108から再び上昇を速めており、今週は強めの売りシグナル1.62618が点灯している。中期チャートにおいても、依然として、強めの売りシグナルが点灯しており、現状レベルからのナンピン売りに妙味が生じている。
★買いターゲット(1.5800〜1.5900)

▼ドルスイス(ドル円−スイス円)
平均乖離幅 −3.50円 現状乖離幅−4.75→−6.25円
先週の強めの買いシグナル0.9289から若干下げているが、今週も強めの買いシグナル0.9247が点灯している。中期チャートにおいては、依然として、強い買いシグナルが点灯しており、現状レベルからの押し目買いに妙味が生じている。
★売りターゲット(0.9400〜0.9500)

▼オセアニア通貨裁定取引
平均乖離幅 20.00円 現状乖離幅 21.85→22.70円
NZドルの下落を踏まえて、今週は短期チャート並びに中期チャート共に、強い豪ドル円売り・NZ円買いシグナルが点灯している。過去の週間ごとの経緯は以下の通り。14.25→13.50→14.55→13.75→16.20→15.90→16.65→18.10→18.95→19.20→19.10→17.50→17.80→17.50→17.30→18.00→18.65→19.95→21.15→22.10→19.70→19.60→18.40→19.10→
18.15→20.00→20.15→21.00→21.85⇔22.70円

▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円
2007年度平均279円、2008度平均は255円。2009年度平均は224円、2010年度1月平均222.70円、2月平均213.90円、3月平均213.50円。4月平均219.40円、5月平均208.60円、6月平均201.85円、7月平均199.40円、8月平均196.50円。9月平均194円。10月平均196.10円。11月平均195.30円。12月平均193.70円。2011年度1月平均は192.55円。2月第1週は193.85円、第2週は196.50円、第3週は196.90円、第4週は194.00円、そして、今週はユーロ円115.05+ドル円82.25=197.30円と円安傾向が強まっている。(目安*190円以下は円売り局面⇔200円以上は円買い局面)

●欧州3大通貨比較
▼ユーロポンド ユーロ円―ポンド円
平均乖離 19.00円 現状乖離幅 19.30→18.70円
先週の様子見0.8533から上昇に転じており、今週は弱めの売りシグナル0.8602が点灯している。中期チャートにおいては売りシグナルに移行しており、0.8700戦後からのナンピン売りに妙味が生じている。
★買いターゲット(0.8500〜0.8550)

▼ユーロスイス ユーロ円―スイス円
平均乖離 24.00円 現状乖離幅 24.35→26.10円
先週の買いシグナル1.2769から、ポジション解消売りを伴い、今週は様子見1.2934が点灯している。中期チャートおいても同様に様子見レベルで推移しており、1.2700〜1.3100のレンジ相場を形成している。 ★様子見

▼ポンドスイス ポンド円―スイス円
平均乖離 43.00円  現状乖離幅 43.65→44.80円
先週の様子見1.5040から変化は見られず、今週も様子見1.5036が点灯している。中期チャートおいては買いシグナルが点灯しており、1.4800〜1.5200のレンジ相場を形成している。★様子見



プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

ニュースクラウド