ユーロドル1.4000台の反動売りに要注意?
ECBは政策金利を市場の事前予想通り1.00%に据え置くことを決定したが、その後のトリシェECB総裁が記者会見において、インフレ見通しに対するリスクを上向きに変更、4月の会合で利上げする可能性あると言及したことを受けて、ユーロ買いが加速、1.400台を窺う展開になっている。また、総裁は大幅な金利変更を予想するのは適切ではない事にも言及しており、ECBが金融引き締めに動くかどうかは不透明な状況である。しかしながら、市場は金利先高観測と共にストップロ
ス買いが進行しており、遅かれ早かれ1.4000台は時間の問題であろうが、同レベルでは投機筋のストップロス狙いの買いとオプショントリガーの防戦売りが控えており、1.4000台が達成後には、反動売りも警戒されている。
一方、明日の米雇用統計を控える中、米新規失業保険申請件数が予想以上に改善、そして、項目別の雇用指数も改善されており、また、ISM非製造業景気指数も予想を上回るなど米経済指標の改善が相次いだことで、NYダウは一時200ドル超へと上昇、米経済回復期待が改めて認識される中、本日の米雇用統計の改善期待も増している。
他方、リビア情勢が混沌する中、カダフィ大佐とチャベス・ベネズエラ大統領の提案した和平案に合意したことが伝えられ、原油価格の上昇は一服しているが、反政府勢力の抵抗が激化しており、鎮静化に向けては程遠い状況である。また、米原油在庫の減少が続く中、アラブ諸国の民主化デモの拡大と共に、原油供給不安が顕在化しており、原油高によるドル売り志向は払しょくされていない。
いずれにしても、中東情勢の悪化を発端に原油価格が急上昇、インフレ懸念が世界的に拡大する中、中国においてはインフレ対策として、人民元の切り上げが現実味を帯びているが、同時に、先進諸国も金融引き締め策を迫られている。
しかしながら、日米欧経済はそれぞれ財政難を抱えており、限られた金融引き締め策では、インフレ対策としては不十分と言わざるを得ない。それ故に、ECBの金利先高観測によるユーロ買いが一過性に終わる可能性があり、1.4000台以上からのロングは自重すべきであろう。