原油高・ドル売りの構図は不変?
中東情勢の悪化に伴い、昨日は米原油在庫不足が発表される中、市場は原油価格の加速的な上昇に危機感を募らせており、原油供給不安がマーケットを先導している。
昨日発表された米地区連銀経済報告(ベージュ・ブック)は前回から変化は見られなかったが、明日の米雇用時計の前哨戦とも言われるADP雇用統計は21.7万人と市場の事前予想(18.0万人)を上回り、昨年12月(24.7万人)以来の高水準を記録したにもかかわらず、原油価格が102ドル台まで上昇したことを嫌気して、NYダウは小幅反発にとどまっている。相対的にドル売りが進行する中、ドル円は再び81円台に突入、そして、ユーロドルは1.38台後半、ポンドも1.63台へと年初来高値を更新しており、原油高・ドル安の構図がマーケットを席巻している。
一方、ユーロドルはユーロ圏1月生産者物価指数が予想を上回る中、先にルクセンブルク中銀総裁が発言した「3月3日にECBは上向きインフレリスクを警戒する可能性ある」ことが再認識される中、総じて、堅調に推移しているが、同時に高値警戒感による利益確定売りが随所に散見されている。しかしながら、原油価格の上昇に歯止めがかからない限り、1.400台を視野に入れる相場環境にあるだろう。
他方、中東情勢の長期化を背景にリスク選考の動きが早まっていることは否めないが、反政府運動が活発化したことを受けて、オイルマネーの流動性が問題視されている。一部では株式市場からの撤退なども噂されているように、為替市場も中東情勢が鎮静化するまでは予断を許せない状況である。
今週は本日のECB政策金利発表や明日の米雇用統計などの注目材料が控えているが、市場は原油価格の動向に右往左往しているのが現状であり、ファンダメンタルズ分析やチャート理論では読み切れない相場環境にある。当面、ストップロスの配置を重んじ、逆張り志向で待機することを勧める。