米長期金利に注視!過度な低下はドル買い戻し優先?
エジプトからバーレーン、そして、リビアに飛び火した反政府デモが激化する中、中東情勢をめぐる懸念から米国債買いが選好され、米長期金利利回りの低下を促したことから、市場のドル売り志向が強まっている。
また、米週間新規失業保険申請件数は予想を上回り、雇用情勢の回復の遅れが懸念されたこともドル売りを助長しているが、反面、米2月フィラデルフィア連銀業況指数は2004年1月以来の高水準を示しており、ドル円相場への影響は限定的になっている。その中で、ユーロドルは米長期金利の低下を受けて、1.35ドル台半ばから1.36ドル台前半まで回復するも、同レベルでは利益確定売り局面を迎えており、試行錯誤の状況に陥っている。
補足的になるが、米10債利回りが3.5%台をキープしている間はドル売りを強行できない側面がある。むしろ、中国当局が外貨準備高の正常化を目的として、今後も保有している米国債売却を継続する可能性が高く、長期金利の高止まりが予想されるだけに、過度に米長期金利が低下した場合には、逆にドル買い志向が強まる可能性がある。
他方、海外勢からは出遅れ感の強い日本株への資金流入が続いており、円の需給関係から円高相場も懸念されているが、相対的に、投機筋は為替リスクを取ることを自重しており、米ドルと同様に低金利の流動性資金や先物市場であるデリバティブ取引を活用しながら、日本株を購入する傾向が強くなっている。それ故に、株高が連鎖的に円買いに波及していないのが現状であろう。
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