ドル円84円台必至も時期尚早!戻り売り優先?
エジプト情勢を巡る地政学的リスクや欧州金融システムを巡る不透明感が一服する中、日米金利差拡大の思惑から、ドル円は年初来高値へと底堅さを見せており、遅かれ早かれ、ドル円84円台は時間の問題になりつつあるが、同レベルでは実需及び利益確定売りが控えているため、ストップロスやオプショントリガー狙いなどの何がしらの買い材料が必要であろう。
昨日発表された米1月小売売上高が予想を下回ったことを嫌気して、NYダウは続落するなど、市場では高値警戒感を踏まえて、利益確定売りが優先されており、ある意味では踊り場的な相場環境にあり、当面、株式市場の伸び悩みも想定せざるを得ない状況である。
一方、ユーロ圏ではドイツ頼みの経済環境には変わりはないが、独州立銀行であるウェストLBの事業再構築プランが不調に終わった場合には、南欧諸国の債務問題が再び材料視される可能性があるため、積極的にユーロを買い戻す動きは弱まっている。一部では、欧勢やロシア勢などのユーロ売り観測が浮上するなど、ユーロドルの上昇は限定的になっているが、同時に、英中銀の早期金融引き締め観測が浮上し、ポンドが上昇基調を速める中、リスク回避と共にユーロポンド売りに傾斜していることもユーロ売りを助長させている。反面、1.34台半ば前後からは、随時ポジション調整買いや利益確定買いが散見されており、過度なユーロ安は期待出来ず、市場は1.35前後で試行錯誤が続いているのが現状であろう。他方、ガイトナー財務長官が米議会証言で「消費者と企業は、将来を一段と楽観視している」との見方を示したことを受けて、米長期債利回りが再び上昇、ドルを買い戻す展開となり、ドル円は一時84円台目前まで上昇する一方、ユーロドルは再び1.35割れへと軟化しているように、為替相場は、依然として、米長期金利の動向に左右される展開が余儀なくされている。
逆発想的であるが、機関投資家や新興国などは米債券利回りが3.7%を上回れば投資対象となり得るだけに、利回り低下を背景にしたドル売り局面になる。反面、3.5%を下回れば、購入対象とならず、利回りの上昇が期待されるため、ドル買い需要が増幅する可能性がある。