ユーロロング解消の動きも視野に?
米1月ADP全米雇用報告が前月比+18.7万人と市場予想(14万人)を上回ったことから、一時ドル買いが優先されたが、前月分の結果が同+29.7万人から+24.7万人に下方修正されたこともあり、ドルの上昇は限定的になっている。また、前回はADPの好結果にもかかわらず、その後の米雇用統計において、期待感が削がれたた経緯があるだけに、市場はADPの結果には左右されていないのが現状である。しかしながら、今回はISM指数における雇用指数の改善などを背景として、相対的に雇用情勢の改善が有力視されており、また、既に、ドル安がマーケットに浸透しているだけに、市場心理としては、ドル売り一辺倒と云う図式は描きにくくなっている。
一方、格付け機関S&Pがアイルランドの長期格付けを「A」からA-」に引下げ、格付け見通しを「ネガティブ」に維持したことから、更なる格下げの可能性に含みを持たせている。また、独府当局者が「今週末開催されるEUサミットで、欧州金融安定ファシリティ(EFSF)が強化される可能性は低い」と発言したことが嫌気され、EFSFに対する足並みが揃っていない事も意識されており、ユーロドルは1.38台が重石になっているが、反面、ストップロス買いが優先されており、下値は限定的になっており、1.38前後での試行錯誤が続いている。
他方、米経済回復期待を背景として、NYダウは3日続伸と株式市場の堅調さが指摘されており、同時に、米10年債利回りが再度3.5%近辺まで接近した事を受けて、一部では、6月以降にFRBによる量的緩和解除の憶測が広がっているため、ドルを買い戻す動きも見逃せない状況である。
いずれにしても、中東情勢の悪化を睨み、相対的にポジションを取りにくくなっているため、とりあえずは、ユーロロングを解消する動きも無視できないが、俗に言われている年初からの、中東勢による外貨準備高シフト(ドル→ユーロドル)が一巡したかどうかは判断できないが、エジプト情勢の緊迫化を背景とした原油価格の上昇が一段落しており、また、米側からはムバラク政権離れに拍車がかかっている現状を踏まえると、ユーロロング解消を視野に入れるべきかもしれない。