ユーロ→底堅さと脆さが同居中!
格付け会社S&Pによる日本国債引き下げを背景として、円売りが加速したが、市場では昨年来から本邦財政難が表面化すると共に、引き下げ論に関する警戒感顕在化していたため、徐々に冷静さを取り戻している。また、ドル円83円台では実需売りや利益確定売りが確認されており、現段階では更に円売りを促進させる地合いは至っていない。いずれにしても、突発的な引き下げ報道であっただけに、未だに潜在的なストップロス(円売り)が解消されておらず、現段階ではドル円は底堅い状況と言わざるを得ないだろう。ただし、日本国債保有率の90%が国内投資家に依存しているため、国債利回り
の上昇は限定的との見方が台頭している。また、統計的にも日本国債の引き下げは過去において10回程実施されているが、為替及び株式市場への影響は限られており、ドル円83円台からの過度なロングは自重することが賢明であろう。
一方、米国では米12月耐久財受注や週間新規失業保険申請件数がそれぞれ予想よりも悪い内容となったことなどから、米経済の先行きに対する不透明感が強まり、一時ドル売りが強まってはいるが、市場は今晩発表される米10-12月期四半期実質国内総生産(GDP)を見極めたいとの思惑が働いており、事前予想は前回より悪化する見通しであるが、一連の経済指標を見る限り、悪化は最小限にとどまるとの見方もある。また、ドルショートの膨らみから、ドル売りを継続できない側面がある。
他方、ユーロ圏ではビ-ニ・スマギECB専務理が「輸入製品インフレの予想される上昇は無視できない」とのコメントが意識される中、ゴンザレスパラモECB理事も「輸入インフレを非常に注視する必要」と言及し、短期的なインフレに対する警戒感から、早期の金融引き締め観測も意識されているため、ユーロドルの堅調さに繋がっているが、同時に、1.37台では高値警戒感と共に、ポジション調整売り志向が強まっており、加速的な上昇に歯止めがかかっている。
その他では、ドル円の上昇と共に、市場心理としては円高懸念が希薄になっており、一部機関投資家や信託筋からは円キャリトレード取引が更に強まる可能性がある。特に、豪ドルはギラード豪首相による「洪水はGDPを0.5%押し下げる見通し」を言及したことが嫌気され、下落基調にはあるが、ドル円の底堅い状況が確認されれば、高金利通貨の強みから、相対的にクロス円相場は底堅い状況に繋がるであろう。