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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米雇用統計→過剰期待に注意!戻り売り一考?

先のADP雇用統計の大幅な改善数値を受けて、新規失業保険申請件数に対する期待値も高まっていたが、結果は40.9万件と市場予想通りとなり、市場への影響は限定的であるが、今回の新規失業保険申請件数は算出期間の関係上、本日発表される12月米雇用統計には直接反映しないが、市場には米長期金利の低下に伴い、さほど大幅な改善数値は期待できないとの思惑も働いている。
一方、ユーロ圏ではOECD(経済協力開発機構)が「ユーロ圏はリスク局面にある」との見方を示した事を受けて、ユーロドルが軟調に推移する中、追い打ちをかけるように、英デイリーテレグラフ紙が「欧州委員会はユーロ圏の銀行破綻の費用負担を優先債券保有者まで拡大させる計画を推進する」との記事が掲載され、債券保有者にコスト負担を強いることが嫌気され、ユーロドルは節目である1.300割れと全面安の展開を強いられている。
他方、日経平均株価は3連休を意識しながら、10,500円の達成感と共に、利益確定モードにあり、上値は抑えられ展開であるが、株式市場にはようやく出遅れ感が浸透し始めており、株高円安が連想させられるが、反面、本邦輸出企業の実需売りが採算分岐点を意識する中、ドル円83円前後から断続的に控えており、ドル円の上昇幅は限定的になっている。
いずれにしても、先のADPの大幅な改善数値を受けて、米景気回復期待が強まる中、本日の12月米雇用統計が期待通りに改善されるかに注目が集まるが、既にADPの影響でドル買いが先行している局面でもあり、仮に失業率並びに非農業部門雇用者数の数値が改善されたとしても、想定範囲内であれば、ドル買いを一段と加速させるにはハードルは高いと言えるだろう。むしろ、失望的なドルの戻り売りシナリオを一考することが相対的なリスク軽減に繋がるであろう。

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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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