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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

年末調整局面!直近のレンジ幅で逆張り待機?

市場参加者の激減が続く中、先に中国の利上げが実施されたが、更に、中国人民銀行金融政策委員が「2011年上半期には、預金金利・貸出金利・預金準備率の調整が不可欠だ」と一段の金融引き締めが必要との見解を示した事を受けて、中国人民銀行による追加金融引き締め観測が強まり、アジア株式市場は総じて軟調に推移、一時、ドル売りが先行し、ドル円は81円台後半まで下落、そして、ユーロドルはストップロスを巻き込みながら1.32台前半まで上昇するなどドル売りが鮮明になったが、特段の材料のない中、NY時間では12月消費者信頼感指数は悪化したものの、12月リッチモンド連銀製造業指数は25と予想を大幅に上回る結果となり、また、項目別の雇用関連指数でも14と前回(10)から増加してはいるが、米10年債利回りが再び3.5%に接近したことを受けて、ドルが急速に買い戻されている。ドル円は82円台を回復する中、ユー
ロドルは1.31割れまで急落するなど、市場が薄商いを伴い、神経質な相場展開を余儀なくされている。
いずれにしても、年末を控えて、ポジション調整主体の展開になっているが、ユーロ圏を巡るソブリン・リスクが背景にある以上、ユーロドルロングには抵抗感が生じており、基本的には戻り売りに徹した方がリスクの軽減につながるであろう。また、年末のレパトリエーション(海外滞留資金の本国回帰)の動きもあり、相対的にドルや円が買われやすい局面であるが、クロス円は有資源国通貨を除けば、ユーロ円などは底辺レベルまで下落しており、過度な円高期待は自重すべき段階であろう。
その中では、金は続伸、原油は反発するなどリスク回避志向が根強いため、米長期金利の動向に大きく左右される展開が予想されるが、米10年債利回りが上限とも言える3.5%前後で推移しているだけに、過度なドル高期待も禁物であり、ドル円及びユーロドルも直近のレンジ幅で逆張り志向で臨むことが得策であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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