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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米長期金利に過熱感!ドルの戻り売り優先?

日経平均株価は53円高と堅調に推移、7カ月ぶりに高値を更新しているが、ドル円相場は米長期金利の低下に伴い、やや円買いが加速しているものの、ポジション調整主体を背景にして動意薄の展開を見せている。その中で、今朝ほど発表された豪州11月雇用統計が改善されたことを受けて、豪ドルが上昇する中、クロス円の上昇に伴いドル売りが優先されている。
一方、日本の長期金利にも上昇圧力が生じているが、日米金利格差は平衡状態にあるため、ドル円相場への影響は限定的になっている。市場のコンセンサスとしては、米長期金利の動向を踏まえた上でドルロング、またはドルショートに転化されやすい外部環境であるため、今後も米金利の浮き沈みに振り回される可能性が高いだろう。そして、米長期金利の上昇要因として考えられることは、米景気回復期待と共にリスク回避志向が後退しており、安全資産である米ドル債券から株式並びに商品市場にシフトされている結果であるが、同時に、ドルの過剰流動性資金が回遊しているため、2年債などの短期債利回りに波及すれば、株および商品市況への影響も大であろう。

他方、FRBとしては米雇用情勢や住宅市場の改善が明らかになるまで低金利政策と共に追加的緩和策を継続するしかないが、経済の低迷期を脱するには、デフレからインフレへのプロセスが必要であり、景気浮揚のためにはドル安容認、そして、ある程度の金融引き締め策を講じる必要性があり、それ故、FRBは今後も苦渋の選択を強いられている可能性が高いだろう。現状では、米長期金利の高止まりは米財政難を拡大する可能性があり、必ずしも好ましい金利上昇とは言えず、当面、高値警戒感を踏まえた上で、ドルの戻り売りを優先することが賢明であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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