試行錯誤の中、レンジ相場健在?
ECBがポルトガルとアイスランドの国債を購入したとの報道が伝わり、アイルランド国債の利回りが低下し、南欧諸国の財政懸念は幾分後退するものの、ユーロドルは一時的な上昇にとどまっている。相対的にユーロ売り・ドル買い志向が強まっているが、昨日はレーン欧州委員が一段と厳しい銀行へのストレステストを2月に実施すると述べ、また、IMF専務理事が「欧州が2つに分裂するリスクが存在」とコメントした事もユーロ売りを誘発させており、ユーロドルは先週末の米雇用統計前の水準まで上げ幅を解消している。
一方、オバマ米大統領が「ブッシュ減税」の2年間延長で共和党と妥協した旨を発表する中、雇用保険適用期間を13ヵ月に延長、来年の所得税を2%減税、不動産税の増税などを提案するなど、積極的に出口戦略を公表したことを受けて、ドルの買い戻し志向が強まっている。また、米格付け会社ムーディーズがブッシュ減税の延長は米格付けへ長期的な懸念になるとの見解を示したことで米長期金利は軒並み上昇しているが、同社が「向こう1〜2年の間、米国の格付けを変更するとは予想していない」との声明を発した事を受けて、ドル買いの後押しになっている。
他方、本日は主要な経済指標は皆無に近い状況であるが、昨日の3年債入札が低調に終わったことから、米10年債の入札が注目されている。金利水準としては3.1%台と投資家にとっては魅力的なレベルであり、利回り上昇は限定的と判断することが妥当であろう。投機筋も含めて、米債購入が加速する可能性もあり、金利面からでは過度なドル高期待は警戒を要するだろう。