リスク回避志向健在!ドル・円戻り買い優先?
欧州債務危機が強まる中、スペイン、イタリア、ベルギー国債利回りが上昇し、ドイツ国債との利回り格差が過去最大になっている。また、ベルギーやフランス国債利回りも上昇するなど、アイルランドの財政危機が欧州全般に拡大している。
そして、米格付け会社がポルトガルの格付け引き下げの可能性を指摘したこともユーロ売りを誘引しているが、同時に、フランスの格付けまでもが引き下げられるとの噂が先行するなど、資金流出懸念が拡大、ユーロ売りに拍車がかかってい
る。そして、節目と見られた1.3000割れを難なく実現しており、再浮上のきっかけを見出せない状況に至っている。
一方、株式市場においては、中国当局の金融引き締め観測の高まりから、上海総合株価指数が急落、中国経済の冷え込みを嫌気して、豪ドルは軟調地合いであるが、先ほど発表された豪GDPが予想を下回り、円キャリトレード解消の動きも
加わり、リスク回避による円買い志向はクロス円全般に波及している。
他方、NYダウは、米国の年末商戦の好調が伝えられており、米株式市場は下げ渋りの様相を見せている。日経平均株価への影響は限定的との見方が先行しているが、欧州財政危機を背景にしたリスク回避志向は根強く、為替、株、そして、
債券市場においては、利益確定やポジション解消の動きが想定以上に早まっており、一喜一憂させられる相場展開が予想される。当面、為替相場においては短期トレード中心で売買を模索することが賢明であろう。
本日は週末の米雇用統計を控える中、11月ADP全国雇用者数、11月ISM製造業景況指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)など、注目度の高い指標が目白押しであるが、昨日のシカゴ購買部協会景気指数及び米消費者信頼感指数が改善された事を受けて、労働市場の改善期待が強まっており、リスク回避の動きを重視したドルの戻り買いと円の戻り買いに妙味が生じている。