売買材料多様化!相場の動きを待って逆張り?
アイルランド債務問題や中国の利上げ観測などを背景にして、欧米株式市場が軟調に推移すると共に、リスク回避姿勢の高まりからドル買いが優勢になっている。
昨日の米長期金利は一旦利益確定を誘発して、低下傾向にあるが、先進国の金融緩和と新興国の金融引き締めの構図が変わらない以上、米長期金利の上昇は限定的と言わざるを得ないだろう。しかしながら、市場にはドルの過剰流動性を危惧して、米追加金融策に対する批判が集中しており、米長期金利の先高感は強く、日米金利差拡大を背景にして、一時ドル円は83円台半ばまで上昇、ユーロドルは1.34台半ば近辺まで下落、その後発表された米卸売物価指数や米鉱工業生産指数が事前予想より低下したことから、NYダウが大幅に下落するなど、ドルの上昇は一旦抑えられる恰好になっているが、第3弾の追加金融緩和策が大幅に後退している以上、当面、ドルの底堅い状況が予想される。
一方、米ブラード・セントルイス連銀総裁は、米経済の大幅な改善が示された場合、FRBは量的緩和第2弾である6000億ドルの追加米国債買い入れの規模を縮小する可能性があると示唆している一方、ローゼングレン・ボストン連銀総裁は6000億ドル満額完了を確実視していると述べており、FRB内でも追加金融緩和策に温度差が生じているように、米追加金融緩和策による経済効果を疑問視している見方が優勢になっていることもドルの追い風になっている。
他方、昨日のEU及びドイツZEW景況感指数が事前予想より大幅
改善したことを受けて、ユーロドルは一旦買い戻されたが、アイルランド並びに欧州財政難問題を背景にして、上昇力は限定的であり、リスク回避志向のユーロ売りが顕在化しつつある。
また、WSJ紙が欧州当局者との対話によると、800〜1000億ユーロのアイルランド支援を検討中であると報じており、ユーロ圏加盟国はアイルランド支援に関して、英国の貢献とIMFの関与を望んでいるとも伝えている。反面、アイルランド首相は依然として支援申請を否定してはいるものの、ユーロ重債務国の火種がユーロ売りに繋がっている状況に変わりがない。
いずれにしても、様々な売買材料が回遊しており、相場の難易度を高めている以上、当面、ポジションの縮小を念頭に、相場の過度な反応を見てから始動することが得策であろう。
★ペットチャート公開(11月15日)