米長期金利急上昇!米ドル離れ・米債売却?
欧州圏におけるアイルランド等の財政問題が再燃、アイルランド首相が「財政赤字の削減に失敗すれば、将来の資金調達にとってリスクとなる」との見方を示した事で、資金調達に対する不安が再燃、市場は警戒感からリスク回避志向が強まり、対欧州通貨を中心に米ドル買いが進行している。
そして、ドル円相場は中国外為管理局の投機資金流入規制発表などを背景にして、下値を探る展開であったが、米長期金利の上昇に伴い、一時82円台を窺う展開を見せ、ドル全面高の様相を呈している。市場は欧州財政問題を材料視しながら、ユーロを中心に売り姿勢を強めているが、昨日は懸念されたギリシャ国債入札が順調に消化されたことを受けて、一時、欧州株の上昇や米債利回り低下などを背景にドル売り圧力が強まり、ユーロドルは1.39 台半ばまで反発したものの、リスク回避志向を背景にして、利益確定売りと共にユーロロングを解消する動きは止まらず、1.37台半まで急落するなど荒っぽい展開に陥っている。
一方、FOMCの米追加金融緩和策以降は米経済の先安不安や長期金利の低下から、ドル安基調にあったが、昨日は市場との思惑に反して、米長期金利が急激に上昇したことなどが米ドル買いを後押しした恰好である。しかしながら、金価格が史上最高値を更新する中、米ドル離れによる米国債売却の臆測も台頭しており、米長期金利の上昇のみで、素直にドル買い一辺倒とは言えない状況であろう。また、今週のG20首脳会議では、為替問題が協議される予定であるが、新興国並びにEU主要国側からは、ドルの過剰流動性と共に米国のドル安容認姿勢に批判が集中している関係上、ドルショートを一旦解消する動きが強まっているとも解釈できる。