利上げ実施で中国マネーの流動性が問われる!
中国金融当局が0.25%の利上げを発表、準備預金率の引き上げがなされた後だけに、為替市場は予想外の利上げに過剰反応している。加えて、ドルショートの膨らみもあるが、中国マネーの流動性が問われており、為替相場はドルの買い戻しが急がれ、ドル全面高へと修正局面を迎えている。また、FRB公定歩合議事録では「ダラス連銀とカンザスシティー連銀が0.25%の利上げを主張」との報道なども米ドル買いをサポートしている。同時に、NY連銀総裁は雇用とインフレが適正水準に復帰するには数年かかる。そして、シカゴ連銀総裁はインフレ目標の設定と大規模な追加緩和の必要性を訴えている。一方、ミネアポリス連銀総裁は追加緩和の効果に疑問を呈し、また、ダラス連銀総裁は資産購入の拡大を公約していない、議論は11月で終わらない可能性もあると、追加緩和に否定的な見方を述べている。次回11月2,3日に行われるFOMCの追加金融緩和策に波紋が広がっているように、バーンナンキFRB議長の苦渋の選択が強いられている。
一方、為替市場はリスク許容度の思惑から、過熱感のあるユーロドル及び資源国通貨である豪ドルなどが売られ、リスク資産の巻き戻しと共に、米国主要株価指
数が反落、同時に、金、原油価格共に大幅下落へと市場が様変わりしている。しかしながら、米10年債利回りが再び、2.5%を下回っており、米ドル売り基調に変化はないが、当面、市場はストップロスを巻き込みながら、狼狽的にポジションの巻き戻しが発生しており、もう一段のドル高を想定せざるを得ないだろう。
他方、中国人民銀行の金融引締め策に関しては、中国経済のインフレ抑制と共に、G20の為替問題を意識した利上げと称されているが、市場は明日発表される中国GDPや消費者物価の動向を探りながら、損失確定売りを優先せざるを得ない状況である。特に、中国経済に影響を受けやすい豪ドルがパリティ前後から0.97割れへと急落しているが、ドル円81円の割れの底堅さを背景にして、更なる下落局面では、高金利通貨である豪ドル円ロングに妙味が生じるだろう。
いずれにしても、日米欧経済が低迷する中、中国経済の減速懸念が加わり、株、為替、そして、商品市況もポジション調整局面にあるため、相場の乱高下が予想されるだけに、少なめのポジショニングで状況を見極めるしかないだろう。
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