パリティ割れ続出!ドル過小評価?
昨日のシンガポール通貨庁による突発的な通貨高誘導を受けて、ドル円相場は80.88円へと15年ぶりに高値を更新、また、新規失業保険申請件数が前週比で増加と雇用情勢の進展が見られない中、米金融緩和観測の高まりを背景にして、ドル売りの流れが顕在化しているが、政府・日銀による円売り介入はなかったものの、介入期待は根強く、マーケットは81円割れの達成感と共に戻り基調に転じている。
一方、米財務省が発表した米国の貿易赤字は463億ドルと高水準であるが、貿易赤字の4割を占めていると言われている対中貿易赤字が過去最大を記録するなど、今後も人民元の切り上げ圧力になるであろうが、中国側からは、7〜9月の外貨準備高の増加額が過去最大になったことに対して、ユーロ高が起因していると異例な発表をしており、人民元改革を迫る米国との駆け引きが深刻化している。他方、ドル円相場は81円割れの展開になったが、日本政府・日銀は繰り返し、注意深く見守り、必要に応じては断固たる措置をとると言及している。
また、野田財務相が韓国政府の継続的な介入を批判的に発言、そして、中国の人民元安を指摘、その後、韓国及び中国側の反論があったことから、積極的な円売り介入を実施しにくいのではないかとの見方もある。
今晩、バーナンキFRB議長が金融政策に関して講演するが、市場のコンセンサスとしては、次回FOMCにおける追加金融緩和策の規模を確認したいとの思惑が働いており、緩和規模が明確になれば、ドルが動意づく可能性は高いだろう。いずれにしても、米ドルショートが膨らむ中、ユーロドルは急ピッチで上昇、ポンドは節目である1.60台を突破、そして、豪ドル、カナダドルもパリティ水準まで上昇しており、急激な上昇に高値警戒感も強く、安易な米ドルショートは自重すべきであろう。