80円割れ阻止には81円前後が次回介入水準!?
先の日銀介入にもかかわらず、ドル円相場が15年4カ月ぶりに高値を更新する中、ユーロドルは一時1.40台、そして、ポンドも1.60ドル台にまで上昇、その後、トリシェECB総裁が「強いドルが米国の国益との米当局の見方を共有、為替について、過度の変動はマイナスの影響がある」など発言したことを受けて、利益確定によるドルの買い戻しが優先され、ユーロドルは1.38ドル台半ば前後まで急落するなどナーバスな展開に陥っている。
今晩の米9月雇用統計が想定以上に悪化するとの見方から、米追加金融緩和観測が高まり、ドル全面安の状況を作り出しているが、反面、急ピッチのドル売りに対する警戒感から、ポジション調整主体によるドルの買い戻しの動きも強まっている。とは言え、米長期債利回りの低下に準じたドル売りのバイアスは健在であり、戻りも限定的になっている。
一方、為替相場が乱高下する中、G7財務相・中央銀行総裁会議が週末にワシントンで開催されるが、主に貿易不均衡を前提とした為替論議が焦点になるため、今晩発表される米雇用統計の好悪材料のみでは動きづらい状況にある。
G7では景気浮揚を前提にした各国の通貨安競争や介入操作が問題視される中、世銀やIMFからも通貨安競争の早期調整が指摘されているが、基本的には人民元の切り上げの遅さが問題ではあるが、中国当局は内需拡大にむけて、あくまでも段階的な人民元高を示唆している以上、今後も通貨安競争を強いられるだろう。穿った見方をすれば、先ずは米国経済の脆弱性が問われるべきであり、同時に強いドルが回帰しない限り、このような通貨安競争が恒常化する恐れもある。そして、政府・日銀としても、ゼロ金利政策を導入したとは言え、為替への波及的効果は限定的であり、為替介入に対しては、米国や欧州からは批判的な見方があるが、加速的な円高には為替介入で対応するしかないだろう。ただし、介入水準が引き下げされた事は否めず、当面、ドル円80円割れを阻止するには、少なくとも81円前後が次回の介入ポイントになるかもしれない。